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学会からのお知らせ

第95回日本社会学会大会テーマセッションの詳細

【1】社会学はアートになるか? アートは社会学か?
①コーディネーター:岡原正幸(慶應義塾大学)
②趣旨:
アート実践が、科学に分類される社会学と分断されて久しい。近代社会の社会分化のなせる技。他方で、さまざまな社会空間や領域が、その境界線を交差させ流動化しているのも確かです。日本社会学会で、アートベース・リサーチを初めて紹介し、映画、ダンスなどを学会発表の場にプッシュしたのが、2016年九州大学大会でした。その後、3回のテーマセッションを同様のテーマで企画し、30本を超える報告があり、アートというキーワードが諸々の専門分野で多様な研究主題をもった社会学的な営為を横断して繋げるパワーをもっていることに気づきました。
今回のセッションでは、アートベース・リサーチ、パフォーマティブ社会学という質的研究の新たな実践を柱にしつつも、よりダイレクトに問いを投げます。
社会学はアートになるのか? あるいはアートは社会学になるのか? です。
発表希望者には、アート、芸術、文学、演劇、ダンスや映像といった試みを社会学という営みに、何かしらの地平で結びつけるというスタンスはもとより、アートでもある社会学、演劇上演でもある社会学、演奏でもある社会学、文学や詩としての社会学、そのような挑戦的な試みも受け入れ歓迎し、会場や展示、上演や演奏の舞台として学会報告の場を提供しようと思っています。もちろん、対面、オンラインも区別しません。作家としての発表者が、自分の作品の公開にとって必要だと思えば、それに合わせて、セッションの現場こそ変えていきたいと思います。ご相談ください。
社会学という営みが、いわゆる学術的な発表という制度的な枠組みにとどまるだけでなく、そこから実験的に飛び出すことで得られるかもしれないことを、みなさんとシェアできたら、それをこのセッションの目的にしたいと思います。
③使用言語:日本語

【2】猫社会学の応用と展開
①コーディネーター:新島典子(ヤマザキ動物看護大学)
②趣旨:
第94回日本社会学会大会(2021年11月13日、於・東京都立大学)において、「猫社会学の理論と方法」というテーマセッションが開催された。「猫好きの、社会学者による、猫のための社会学」、すなわち猫社会学の理論と方法の確立を目指したセッションであり、7名の報告者による、ポストヒューマン社会学、ペット共生社会論、猫高齢社会の飼い主支援システム、猫島をめぐる移動研究、新聞漫画における猫表象、猫推しというファン文化、世界関係性の社会学といった観点からの、記念碑的な報告がなされた。
これを踏まえて第2回目となる本セッションでは、猫社会学のさらなる応用と展開を目指したい。つまり前回セッションと同様、猫と人間の関わりの深化が、現代社会のマクロな構造変容によって生じるプロセスを、家族、感情、文化、社会運動などの諸側面に即して記述するとともに、この変容がもたらす帰結を、猫と人間の文明史的考察を通して理論的に解釈することを重視する。さらに今年度は司会の交代により、前回発表が叶わなかったペットと人間の関係を通して家族定義の変容を解析する家族ペット論に加え、猫をめぐる社会問題(課題)の解決を目指して行われる活動の発生と展開を記述する社会問題の社会学、猫がマスメディアやSNSなどでいかに表現されているかの文化社会学、猫と人間の相互作用を精緻に記述するフィールドワーク、社会学と動物研究との連携を強化する理論的考察など、さまざまな応用と展開を期待したい(もちろん他にも、展開の方法はありうる)。
昨年度のセッションから得られた知見は、既存の社会学の理論と方法(理論社会学、文化社会学、移動研究、震災研究など)は、猫と人間の関係を分析する際に十分に応用可能であるということであった。昨年の知見に学びつつ、本セッションでは、猫とヒトとの関係(相互作用)を研究の主題とすることによって、既存の社会学の知そのものが組み換えられていく可能性についても論じてみたい。多くの社会学徒の参加を歓迎する。
③使用言語:日本語

【3】食を論じることの社会学的可能性
①コーディネーター:呉先珍(東京大学大学院)
②趣旨:
今日、文化的・社会的な観点からの食研究(フード・スタディーズ)の蓄積が進み、食と社会との関係性への関心が高まってきたと言える。社会学において食を位置づけることは困難な問題とされてきたが、昨今の食の社会学での議論は、ブルデュー社会学を用いて食という実践を分析する方向性や、嗜好品摂取、栄養科学や家政学などの食に関する学問と知識を積極的に取り入れることなどにみるように、挑戦的な試みとともに着々と歩を進めている。研究対象の面でも、食を題材とする社会学的研究は、料理、グルテンフリー、ガストロノミー、ベジタリアニズム、ダイエット食、共食や孤食、中食や外食、学校給食など多様な食の実践を射程に入れつつある。
しかし、これまでの食に関する社会学的研究では、その知見を食の実践的課題に還元することが十分にできていない。これは、各人が優先されるべきものとしてとりあげる価値が両立しない場合でも、互いの食を「尊重」しあわなければならない‘嗜好の尊重’によって議論が困難になってしまうという食の個人的側面の「偏重」による。しかし、食は社会によって規定される、社会学的研究対象であることは論を俟たない。‘嗜好の尊重’から一歩先に進み、個々の経験と社会的なものとの相互作用はいかに分析することができるのか。その方法論こそが、これからの食の社会学の検討課題となるだろう。
食の実践は、その人が置かれた食材の入手環境や食行動をめぐる社会的ネットワーク、身体の状態など、さまざまな要因が組み合わさって形成され、組み替えられていく。本テーマセッションは、こうした食の一連のプロセスの中で、どのような社会的な要因が、どのように食に作用してきたのかという課題を俎上にあげ、これからの食の社会学の可能性について構想する場としたい。分野や方法にとらわれず、食をテーマとした分析を行う報告を広く募集する。それらの報告の共通性やまとまりから、「食べること」の一連のプロセスを明らかにする社会学研究についての有益な示唆を得ることが期待される。今後の「食の社会学」とよぶべき領域の可能性および射程を見いだし、食の実践的な課題に答える研究の蓄積を目指したい。
③使用言語:日本語

【4】部落問題研究と社会学
①コーディネーター:内田龍史(関西大学)
②趣旨:
2022年3月3日、部落差別からの解放を願って全国水平社が創立、そこで発表された「人の世に熱あれ、人間に光あれ。」という言葉で結ばれる「水平社宣言」から100年を迎えた。近世以前の身分制をルーツとする部落差別・部落問題研究は歴史学によってリードされてきたが、戦後の同和行政の方針を決定づけた同和対策審議会の調査部会長は磯村英一であり、1969年に制定された同和対策事業特別措置法にもとづき、山本登・杉之原寿一ら社会学者によって被差別部落の実態ならびに部落差別意識に関する膨大な理論的・実証的研究がなされてきた。
2002年の一連の特措法期限切れ以降は、被差別部落の実態を把握することが困難になり、その不可視化が進行しているが、他方で部落は「こわい」「治安が悪い」といった伝統的な偏見に加え、特別措置に対する「逆差別」意識、さらには「寝た子を起こすな論」など、問題が「ある」のに「ない」とする言説も一定の広がりがある。さらには被差別部落の地名や関係者など、身元暴き・アウティングなどがインターネット上で生じており、これらの言動に対応するために、2016年12月に「部落差別解消推進法」が成立するなど、情報化社会における部落差別の拡散への対応が課題となっている。
こうした課題は、近年着目されている新しいレイシズムや新しいセクシズムなど、「新しい」とされてきた差別、さらにはマイクロ・アグレッションなどを先取りないしはそれらと重なりつつ問題化されてきたととらえ直すことが可能であり、複合差別・交差性などをも主題にしてきた部落問題研究におけるこれまでの社会学的研究の蓄積が、現代の差別問題や不平等・マイノリティ研究に与える示唆や意義は少なくないだろう。そこで本テーマセッションでは、社会学における部落問題研究ないしはそれに関連する報告を幅広く募り、差別・不平等・マイノリティ研究に何が貢献できるのかを考えてみたい。
③使用言語:日本語

【5】標準化と規格化の社会学
①コーディネーター:新倉貴仁(成蹊大学)
②趣旨:
現代社会は、情報化、消費社会化、グローバル化によって特徴づけられるが、標準化あるいは規格化standardizationは、その根源となる技術である。たとえばTCP/IPなど、無数のネットワークとシステムが組み合わされる中で、標準化は、それらの相互連結を可能とする。また、MP3のようなフォーマットは、現代社会における文化のインフラストラクチャーとなっている。さらに、歴史的にみるならば、標準化の技術は、大量生産・大量消費・大量流通を支える制御の技術として、近代社会を可能にしてきた。
本セッションでは、「技術から文化を問う」試みの一環として、標準・規格という問題に焦点をあてていく。標準化・規格化の技術は、自己、生活、企業、大学、国家など、さまざまな社会の領域を対象とし、社会そのものを構成している。標準化の技術は、どのようにして私たちの身体や生活を条件づけているのであろうか。
標準化が異なるシステム間の交換を可能にするテクノロジーであるならば、その主題は、貨幣や書字にまでさかのぼりうる。また、標準化の技術は、第二次大戦前後の中央集権的な計画や大量生産技術の根幹をなす(会計、産業合理化、国民保険制度など)。さらに、戦後の情報社会化を支える制御技術(国際標準、プロトコルなど)や、大量の商品の物流による消費社会化を支える技術(パッケージ、バーコード、コンテナなど)に関わる。このような標準化の技術に注目することによって、従来、社会学が「文化」や「風俗」として取り扱ってきた映画、音楽、衣服のような領域を、内容や表象といった水準ではなく、それが社会に組み込まれる「モノ」の水準から考察していくことが可能になると思われる。
本セッションでは、技術史、産業史、歴史社会学、文化社会学、メディア論などが交錯する地点において、さまざまな視角から標準化と規格化の多様な領域に光をあてていく。これらを通じて、現代社会の社会学的探求において、本源的な問題となるものの所在を探り当てていきたい。
③使用言語:日本語

【6】アジアの多様性/アジアの中の日本――『リーディングス アジアの家族と親密圏』を手がかりに
①コーディネーター:落合恵美子(京都大学)
②趣旨:
本セッションでは、2022年3月に出版される落合恵美子・森本一彦・平井晶子編『リーディングス アジアの家族と親密圏』(全3巻、目次は有斐閣ウェブサイト参照)を手がかりに、アジアの多様性について論じ、同時にアジアの中の日本の位置付けの再考を試みたい。
本書の出版プロジェクトは、アジア9社会(日本、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、インド)の研究者が2008年度に国際編集委員会を結成し、各社会の重要文献を収集・翻訳して、英語文献を経由するのとは一味違う「内側からのパースペクティブ」を共有することを目指して実施してきたものである。2021年に英語版 Asian Families and Intimacies を出版したが、日本語版はアジアの中に日本を位置づけ直すことを意識し、英語版にはない論文を相当数加えて編み直した。本書は、まずアジア研究の専門家ではない方々に読んでいただき、それぞれのご研究の前提や示唆として役立てていただきたいと考えている。また、すでに地域研究を深めている方々には、少し広い範囲での比較研究と地域研究を往還しながら進めることの面白さを感じていただけたら幸いである。
本セッションでは、出版企画に関わった方たち、また読者となってくださる方たちに報告者となっていただき、それぞれの観点からの本書の読み方・利用のしかたをお話しいただきたい。たとえば、本書で扱った家族イデオロギー、結婚、ケア、セクシュアリティ、ジェンダー等々に関係する研究関心をおもちの方々には、比較することで見えたアジアの多様性、日本の位置、現状の課題などを提示していただきたい。各地域を専門とする方々には、本書収録論文の意義、各社会の「内側」での議論のポイントやその後の展開をうかがえるのもありがたい。またアジア各地と日本の歴史と近代化についてもユニークな議論ができるのではないかと期待する。それらを通して新しい日本像を見いだしていきたい。
③使用言語:日本語

【7】加速する社会・共鳴する世界への挑戦――H. ローザにおける加速と共鳴の社会学
①コーディネーター:出口剛司(東京大学)
②趣旨:
現在、ヨーロッパで最も注目を集めているドイツの社会学者ハルトムート・ローザの主著『加速する社会』(福村出版)、『共鳴する世界』(新泉社)を取り上げ、そこで展開される「加速理論」と「共鳴と世界関係の社会学」の可能性と限界について議論する。ローザは、独自の社会理論を展開し、現代人が陥る時間の社会病理に対する体系的分析を試みている。コロナ禍にある私たちに引き付けて言えば、テレワークの導入により、パソコン前にたたずむ時間が自由な時間を大きく侵食する矛盾、会議アプリによるマルチタスク化によって、業務の複雑性が逆に高まるパラドクス、あまり興味のない仕事に没頭し、燃え尽きてしまうアイロニーなどが挙げられる。そうした中、仕事の基準はその価値や重要性から「期限の緊急性」へと転換し、業務内容も問題の克服から単なる処理へと空洞化していく。こうした現実を統一的に説明する理論が加速理論である。また加速とウィズ・コロナの時代、私たちは他者、組織、仕事そして「世界」との実質的な関係を見失い、いわゆる表面的で空洞化した関係性、「無関係という関係性」に包摂されてしまっている。こうした(無)関係性からの回復をめざす理論が共鳴と世界関係の社会学である。
本セッションの第一目的は、ローザ社会学の内実を体系的に解明し、その成否について議論し尽くすことにある。しかし、著作の忠実な再現だけでなく、報告は以下の論点にも開かれている。近年、時間・空間秩序を問い直す社会理論に注目が集まっているが、ローザの試みは、こうしたパラダイムを拡張するポスト・コロナ時代の新しい時間社会学と捉えうる。さらに、共鳴概念の潜勢力は、人間が共同して構成する人間社会に限定してきた従来の「人間社会」学を「ポストヒューマン社会」学へと拡大する反人間主体の試みとも位置づけうる。さらに、疎外の他者としての共鳴は、ミメーシス、了解、承認といったドイツ批判理論の中核概念を継承しており、批判理論第四世代の台頭という側面からも議論可能である。使用言語は原則、日本語とする。
③使用言語:日本語

【8】公共(サービス)とその支え手のあり方
①コーディネーター:瀬山紀子(明治大学)
②趣旨:
コロナ禍が継続する中で、保健や医療、生活/労働相談、保育、学校・社会教育などの公務領域が、人々の生活を支えるエッセンシャルワークの領域として注目された。一方で、それらの領域の弱体化や、そこで働く人たちの置かれた状況の脆弱さにも関心が集まった。
日本では、2000年代前半から、自治体財政の悪化等を理由とする行財政改革の必要が言われ、指定管理者制度の導入、民間委託化と合わせて、公務領域の急速な非正規化が進んできた。その底流には、性別役割分業型の雇用・社会保障システムがあると言える。こうしたシステムに依存するかたちで、特に女性が担い手の多くを占める専門職領域が主となり、低賃金・不安定労働領域が広がり、固定化されてきた。
同様の課題を抱えてきた韓国では、2010年代に非正規公務員の正規化が進められ、さらに、コロナ禍を経て、2021年には、必須労働者保護法が制定されたという。そして、公務領域を含む、社会を維持する必須業務を担いながら、処遇が劣悪であった労働者を保護する対策が進んだとされる。
セッションでは、こうした“エッセンシャルワーカー”が置かれた状況を共有し合いながら、コロナを含む災害が激化している社会において重要な役割を担いうる公務領域と、住民生活にとっての意味を再考し、この先の公共(サービス)とその支え手のあり方について議論を進めていきたい。そして、これまでの女性の低賃金・不安定労働を前提としてきた雇用・社会保障システムのあり方を見直し、公共(サービス)の支え手の側、民間団体や政策立案側、公共サービスの受益者である市民の側から、持続可能な公共のあり方や、そのための方策を検討する時間を持ちたい。
③使用言語:日本語

【9】質的データのアーカイブ
①コーディネーター:立岩真也(立命館大学)
②趣旨:
一つに、本学会の社会学教育委員会で、アーカイブに関わった活動をしようということになりつつある。なぜ私が社会学教育、と思う私はその委員会の委員長を拝命している。統計調査の結果等については一定の蓄積があり、公開する仕組みがあるが、もっと他のものがあってもよいと思う。またその試みも既にいくらかはあるようだ。そして、一つに、私自身がかなり長らくその活動に関わってきたつもりであり、2021年度から「生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築」(科研費基盤A、http://www.arsvi.com/a/arc.htm)に従事していることがある。そうして私たち自身ができることは少ないが、各自が各々の得意な領域を担当し緩やかにつながったいったらよいのではないか。
そしてその手前に、一つ、こんな調子で研究などしていてもとてもまにあわないという思いがある。例えば、人が話ができるのは生きている間だけだ。論文など書いている暇があるなら、その手前に置かれるはずの記録そのものを増やすこと、そしてそれに、もちろん話なら話をしてくださる方の許可があればだが、に皆がアクセスできるようにするのがよいと思ってきた。そしてそれはまた一つ、そもそもその記録は、記録をとってそれを使って論文を書こうという人のものではないはずだという思いがある。この場所で言ってよいか知らないが、記録の一部を使い、つまらぬ解釈を施した論文より、その手前の記録の方がおもしろいし意義あるものだと思えることがよくある。むろん正しくは、その双方に意義があるということだろうが、ともかくは記録は研究者の独占物ではなく、人々に接近可能なものであったよい。そしてそれを社会学業界の人たちが、また社会学会が進めるのはよいことだろう。そう思ってセッションを設定する。自分(たち)の実践について、方法や、困難やその解決案について、なんでも、有益な報告を期待する。
③使用言語:日本語

【10】COVID-19 and Society
①コーディネーター:小井土彰宏(一橋大学)
②趣旨:
The COVID-19 pandemic has fundamentally changed individual lives and societies in unprecedented ways. Aside from the medical threat of infection, it has challenged economies and welfare systems, and has seeped deeply into the social fabric by placing drastic restrictions on social interaction. A disproportionally high negative impact on populations who were socioeconomically disadvantaged prior to the pandemic based on the social determinants of health, including social class, gender, education, race or ethnicity, employment status, or industry has been reported around the globe. Moreover, disadvantage is compounded among people living at the intersection of multiple marginalized status categories. In this way, the pandemic amplifies pre-existing inequalities, placing the greatest burden on the shoulders of the most vulnerable. At the macro level, new abyssal lines have become visible, with geopolitical power struggles around access to vaccines, or media-driven discourses on alternative truths and fact-checking.
For this session, we invite papers addressing these and similar topics related to the societal impact of the COVID-19 pandemic. Theory-based macro-sociological analyses, micro- sociological investigations, and multi-level studies are equally welcome, as are qualitative, quantitative, and mixed-method approaches.
Joining this session as discussant is Dr. Carol Underwood, Associate Professor at the Bloomberg School of Public Health, Johns Hopkins University, the globally leading institution in collecting and analyzing data on the COVID-19 pandemic. As internationally renowned expert in research on the social determinants of health, she is actively involved in hands-on research on the impact of the COVID-19 pandemic in various countries around the globe. She will be joined by a Japan-based discussant from JSS.
Papers for this session are selected via the Call for Papers for the JSS Travel Award 2022, which for the first time is open to applicants working and residing outside as well as inside Japan (albeit with differing conditions). With this new format, we hope to give room for profound exchange between presenters and discussants.

Travel Grant事業これまでの積み重ねの上に、その発展を図るために、Travel Award 事業と改称の上で、海外招聘者(Awardee)3名と国内選抜者2名からなる5名から構成される 英語セッションを2つ設置する。現状の社会的学問的関心を考慮し、より多くの応募者と聴衆を期待できる上記共通テーマを設定し、Awardeの応募者の質量とも向上のために新型コロナウイルス感染症に関する社会学的研究の専門家を海外から招聘する。以下を、テーマセッション募集の本文としたい。
「新型コロナによるパンデミックは、個人の生活と社会を根本的に転換した。直接的な感染の脅威の加え、経済や医療・福祉システムを揺さぶり、相互行為の激減は社会的組織に深く影響を与えている。社会階級、ジェンダー、教育、人種・民族、雇用身分、あるいは産業といった健康を規定する社会的因子によって感染爆発以前から社会経済的に不利な立場にいた人々は、今回の事態でより大きな負の影響を被っている。加えて、複数の周縁的なカテゴリーの交差した立場にある人々は、特に大きな負担と深刻な脆弱性を経験している。そして、マクロ水準では、ワクチン獲得の国際的な権力闘争や、メディアにより駆り立てられるalternative truthや事実確認をめぐる論争といった新しい社会的な深刻な亀裂が露呈してきた。
このセッションでは、COVID-19 の社会的衝撃に関連する諸テーマの報告を募集する。この広いテーマであれば、マクロ、ミクロ、複合水準的を問わず歓迎であり、また量的、質的、そして複合方法によるいずれの調査も奮っての応募を期待している。
本セッションには、討議者として世界的なCOVID-19の影響のデータの収集分析拠点で あるジョンズ・ホブキンス大学公衆衛生大学院からC・アンダーウッド准教授を招聘する。 同准教授は、社会学からの公衆衛生と社会的コミュニケーションを中心とする研究で国際的に著名であり、今回のパンデミックを巡っても国際的なプロジェクトにかかわり多数の国を訪問してきた。また、本セッションには彼女と日本をベースにした研究者を討議者として予定している。
報告は、トラベル・アワードの国際募集に応募したものの中から選び、海外6名、日本国内4名として、国際交流委員会の担当委員が選抜する。このような新しい編成により、海外招聘者(報告者、討議者)、国内発表者、そして聴衆のより活発な国際的な交流を促進することを目指している。
③使用言語:英語

【11】趣味の雑誌利用に関する文化社会学的な基盤形成の可能性
①コーディネーター:永田大輔(明星大学)
②趣旨:
雑誌に関してはこれまで様々な形で社会学的な研究が蓄積してきた。こうした中で雑誌というメディアのどのような点に着目するかについては、読者の共同体の形成に注目する研究などいくつかの大きな領域はありつつも、雑誌という単位で相互に研究を参照しあうような基盤が十分に形成されてきたとは言い難い。一方で雑誌を資料として用いた文化研究は多く存在し、そうした研究では自分の研究対象に合わせる形で研究をカスタマイズする必要があった。
資料としての趣味の雑誌を考えたときに趣味の共同体の形成をするにしても、その集まり方の中身が重要になる。とりわけ、マンガ雑誌や論壇雑誌などはマンガや論考などがコンテンツの中身そのものが消費の対象となる。一方、例えば音楽やファッションでは趣味をより楽しむために利用する性質が強いはずである。つまり、そのメディア自体をコンテンツとして楽しむ一次的メディアよりも、メディアの楽しみ方に関するメディア(二次的メディア)という性質が強いはずである。そこでどのように読者が雑誌を趣味に利用してきたのかは重要な文化研究の対象となるはずである。さらに雑誌はファッション雑誌などが顕著であるが、どのような雑誌を購入しているかどうかがファンの特性を指し示すものとしても存在している。このように趣味の雑誌を対象とする際には様々な研究上の可能性が存在し、魅力的な研究も存在してきた。
本テーマセッションでは、上記のような問題関心を念頭に趣味の雑誌を対象とした文化研究を募集する。雑誌を対象とする研究を行う文化研究は多いが、上記のような問題関心のもとに複数の研究を集めることには大きな意義があるはずである。趣味雑誌を対象とした文化研究に対して行ってきた個々の方法論上の工夫を共有し、議論をする場を持つことで雑誌を使った文化研究のポテンシャルを高めることをこのセッションでは期待している。
③使用言語:日本語