以下のような能力が身につきます。
いずれも社会で活躍するのに重要です。
1.問題を発見する能力
現代社会では、出来合いの問題を「解決」する能力も重要ですが、問題そのものを「発見」する能力がますます重要になっています。隠れた社会問題やニーズを発見し、これを解決するための手立てを模索することは、実践的・政策的な課題にもなります。一例をあげると小中学校の運動会の華であった「組体操」が年間数千件の事故を生みだしていることを指摘し、その後事故発生率を大きく減少させることにつながった研究があります(内田良,2015, 『教育という病』,光文社)。社会的ニーズの発見は、場合によってはビジネスや社会的起業にも結びつくことがあります。
2.多様性を理解する能力
社会はさまざまなプロフィールをもち、異なる価値・利害をもつ人たちから成り立っています。外国にルーツをもつ人、性的マイノリティ、障害者・病者などの例をあげるまでもなく、多様な人がこの社会で暮らすなかで、多くの課題への対応が求められています。当事者のかかえる問題を正しく理解するため、あるいはなんらかの合意に達するためにも、異なる価値・利害を視野に入れて社会関係を理解するプロセスが必要になります。
3.実証的調査を行う能力
社会の動きは複雑で、しかもその実態は知られていない部分が非常に大きいものです。社会学は「実証科学」として、インタビュー・参与観察や質問紙による調査をおこない、社会に関するデータを収集し分析します。手間はかかりますが、ここから、ネット上で簡単に入手できる情報とは異なる本当に価値のある知見を得ることができます。またそうしたことができるスキルはかけがえのないものになります。
4.理論的に思考する能力
複雑な社会のうごきを理論的にとらえることは簡単ではなく、多様な価値観を前提とすると唯一の解はありません。社会学にも多様な理論が存在し競合し合っています。浮世離れした理論など必要ないと思われるかもしれません。しかし社会の実態を把握し、なんらかの実践・活動をするうえでも、なにか羅針盤や「導きの糸」のようなものが必要になります。このような想像力・発想力を豊かにすることが、理論を学ぶことの意義です。
5.社会を構想し提言する能力
社会を変えるための提言や実践は、意欲があれば市民社会のなかでは誰でも取り組むことができます。しかし、「社会」に対する正しい知識がないと、善意でおこなった行為が意図に反する結果をもたらすことがあります。宗教的な原理主義や社会主義の独裁体制がテロリズムや経済停滞を生んでしまうことがあるのはその典型例でしょう。社会の実態や変化を正しくとらえておこなう提言や実践は、そうでない場合にくらべてより的外れでなく、有用なものになります。
身につく知識能力、気になります!
どんなものですか?