
先輩方は、多様な内容の卒業論文を執筆してきました。Voyage5であげたテーマに沿って例をあげてみましょう。
1.相互行為や自我・アイデンティティをテーマとした例
- 現代日本における親密性とアイデンティティ――不登校と社会的ひきこもりにみるその様相
- ME/CFS当事者の生存戦略・アイデンティティ形成――当事者の語りから見えてくる日常の対抗戦略
- DV当事者の問題受容とセルフヘルプ・グループの可能性
- パーキンソン病当事者たちの「病い」をめぐる自己物語
- タトゥーを彫る理由と自己変容――若年女性へのインタビューを通して
- 女性のボディイメージに関する女性アスリートの葛藤
- 女子小中学生向け雑誌が生み出す「理想の身体」
- 変わりゆく「自己」との関わり方――「特撮ヒーロー作品」における「変身」をめぐる分析
- 「ソロウェディング」――究極の「おひとり様」活動に人は何を求めるのか
- 「自立する」とはいかなることか――世代間のインタビュー結果の比較から
- 教師のライフヒストリーから見る体罰観の変化
2.家族・親族のありかたをテーマとした例
- マッチングアプリにおける若者の恋愛観と結婚観の変化
- オリジナル・ウエディングの社会学
- 「プリキュア」シリーズに描かれた父母の役割
- 精神障害の親を持つ子どもにおける曖昧な生きづらさ
- 「毒親」とは何か――親を毒親と考える子どもの視点から
- 三世代世帯における孫のジェンダー観の形成と祖父母の影響
- 中国における祖父母の子育て支援に対する母親の葛藤
- 戦後日本社会における児童手当制度と人口政策における言説
- 性的マイノリティカップルの権利保障と差別改善に必要なことは何か
- 離婚訴訟にみる現代女性の法意識の変化
- 社会的養護のケアを離れた人びとにおける対処戦略と解釈実践
3.ジェンダーとセクシュアリティをテーマとした例
- 学校におけるトランスジェンダー当事者の日常実践
- 多様な性とセクシュアル・アイデンティティ
- 現代日本におけるアセクシュアル当事者たちの孤立と葛藤
- 多様な家族を考える――同性愛カップルへのインタビューから
- 「女性政治家」を歩む――地方都市市議会議員の規範と実践
- 女子マネージャー像の「理想」と「実態」
- 時代とともに変化するディズニープリンセスたち――プリンセスたちの幸せは結婚することだけなのか
- ジェンダー規範と働き方――女性は本当に昇進したくないのか
- 女子の進学・就職にともなう地域移動の難しさ――ケア役割への期待
- 男性の育休取得をめぐるポリティクス
- 家庭における性教育の実態と課題
- 選択的夫婦別姓制度論争――新聞言説の分析
4.労働・消費などの活動と企業・産業をテーマとした例
- 揺らぐ日本の伝統的な採用制度――有効なマッチング方法を求めて
- 今日における女子大学生の就職活動をめぐる苦悩と葛藤
- 学生アルバイトの基幹化
- アルバイト経験が大学生の職業的価値観の形成におよぼす影響――大学生への量的調査を通して
- 寿司職人という仕事――派遣社員として働く寿司職人のライフヒストリー
- 女性起業家による「起業」選択の背景――女性社長データベースの分析とライフヒストリーから
- 国際比較からみたワーク・ライフ・バランス――2030年に向けた新たな働き方
- AIが発展していく社会で人間に求められるものは何か――労働の視点から
- 労働時間制の〈個人処遇化〉が労働組合の機能に及ぼす影響について
- 韓国における若者の労働をめぐる社会運動
- 日立鉱山における社会関係の形成および閉山後の社会関係の変容
5.人間と自然環境との関係や科学技術の影響をテーマとした例
- 再生可能エネルギーの利用と地域の関係性について
- 都市化する地域における里山保全運動の実践
- 人と川との関わりの再構築――N市における河川ボランティアの事例から
- 長野県X地域におけるアグリツーリズムの変容と地域住民
- ダークツーリズムにおけるスーパーファンドサイトの利用可能性
- 新潟水俣病の被害者たちの記憶と継承
- 1970年代以降における韓国の環境運動をめぐる現代史
- 科学技術の社会的規制――その形成メカニズムの解明
- 1990年代以降における日本におけるイノベーション言説の変容
- 「生物多様性」はいかにして語られてきたのか
6.医療・福祉・教育をテーマとした例
- 「子宮頸がんワクチン被害者」のライフストーリー
- へき地勤務医のエスノグラフィ――A県内の事例から
- 青春期の〈回復〉をめぐる治療者の物語――児童精神科デイケアスタッフの語りから
- 知的障害者の「意思」を尊重するとは――福祉サービスに関わる支援者の視点から
- 介護者の家族観とサポートネットワーク
- きょうだい児による自らの生の意味づけ直し・再解釈――当事者会におけるきょうだい児の解放と葛藤
- 「バリアフリー絵本」における障害観の変遷
- 障害者就労施設における環境事業と地域社会の関わりに関する研究
- 近代日本における民生委員活動の実践をめぐる歴史
- 日本の2E教育に望むあり方――特別支援教育を通して
- 不登校の子どもを包括する学校を目指して――学校内のサードプレイスを考える
- 「特別の教科 道徳」の問題点――検定教科書に着目して
- 楽器に対するジェンダー・バイアス――小学校音楽科教科書分析を通して
- 「ICT教育」の現状と今後
- 日本の学歴社会――格差と努力主義
- 地方の若者の大学進学に関する意識
- 高校生の文理選択に関する要因――文系選択者・男子学生に着目して
7.逸脱行動・社会病理をテーマとした例
- 近代日本の生と死――自殺の観念をめぐる考察
- 「いじめ自殺」をめぐる言説の形成と変容
- ドラマ『花より男子』に見る「支配」と「いじめ」の諸形態に関する社会学的考察
- ネット空間における誹謗中傷被害者が経験する苦悩と困難
- 犯罪加害者家族における生の意味づけ直しと解釈実践
- 非行少年少女の対人関係と立ち直り過程
- 当事者団体に参加するひきこもり当事者の個人的実践と集団的実践
- 薬物依存当事者たちの回復をめぐる物語
- なぜ若者は「賭け麻雀」をするのか――嗜癖と居場所の社会学
- 「ストーカー」はどのようにして人々に認知されていったか?――新聞記事による時系列分析
- あるべき刑務官の変容――あるべき刑務官像はいかに語られたのか
8.階層・階級、不平等をテーマとした例
- 子ども期の貧困の継続性に関する研究
- 貧困家庭の子どもにおけるリアリティ――貧困をめぐる排除と包摂
- 「子どもの貧困」への政策的対応策――生活保護受給母子家庭で育った大卒者への生活史から
- 子ども時代の特別なイベント参加経験と他者との関わり
- 「学力」は生まれか環境か――お受験と習い事をめぐる機会格差から考える
- 定時制高校における高校生たちの進路選択
- 日本における奨学金言説の形成と変容
- 戦後日本社会の不平等をめぐる言説
- 寿町で生きる女性たち――不可視化された現実
9.都市・農村などの地域社会、コミュニティをテーマとした例
- 東京都X市の商店街における軋轢と対立――利害と思惑をめぐるポリティックス
- 群馬県X村の政策選択をめぐるポリティクス――財政運営・市町村合併・インフラ再編をめぐって
- 地域資源の共同管理をめぐる人々のつながり――湿原の保全活動を事例として
- 地元学による地域づくりの可能性――I県における実践を事例に
- 地域コミュニティを再生するために――A県B市子ども会でのフィールドワークから
- 海の京都DMOの現状と今後の課題
- S島クラインガルテンにおける都市農村交流――生成過程に着目して
- 滝地区住民にとっての滝山寺⿁祭り
- 起業型地域おこし協力隊の現状と課題
- 農山村地域における移住起業のプロセスに関する研究――Iターン移住起業者を対象として
- 地域コミュニティで幸福に暮らすことへの障害と課題解決
- サードプレイスから生まれる学生の地域コミュニティに関する研究
- 少子高齢化時代における公立学校のあるべき姿――「コミュニティ・スクール」再考
- 独立リーグ野球選手のライフスタイルと地域社会
- プロサッカーからみる海外と日本の地域活性化の違い
10.グローバル化とエスニシティをテーマとした例
- 外国人集住化と教育の変容
- 外国人非集住地域におけるフィリピンルーツの子どもの地域教育支援
- 外国人留学生への就職支援の課題――高度人材と留学生の実態をめぐって
- 1970年代以降における川崎の在日コリアンの現代史
- 日本における在日インドシナ難民の生存戦略と寄る辺なさ
- 日本社会のクルド難民における二重のリアリティ
- フィリピン人女性が抱え込まざるを得ない苦悩・葛藤をめぐる語り難さ
- 愛知県豊田市における多文化共生の取り組みと課題――ユニバーサルデザインを目指して
- ハラール認証飲食店の増加と日本の食
- ハワイ日系人と強制収容の記憶――ホノウリウリ国定史跡化運動を事例として
11.文化・表象・宗教をテーマとした例
- ファッションのリユースの現状と課題
- 「女子力」流行の社会的背景
- コスプレ・コードの社会学――二次元から三次元への読み替え
- ディズニーアニメーションにみるジェンダーと人種
- 「eスポーツ」表象におけるジェンダー差
- 時代の変化を反映する「仮面ライダーシリーズ」の怪人
- 近代日本における公共宗教論の射程
- 「宗教2世」当事者の社会・自己認識はいかなるものか
- 釜ヶ崎における慰霊祭――生き残りの戦略と弔いを通じた他者とのつながりの実践
- SMAP解散騒動から見るジャニーズ消費
- フィギュア・スケート界と親子の実践
- 自分史を書く人びと――K市におけるサークル活動を事例に
- YouTuberによる地域活性化――岡崎市における東海オンエアの活動を中心に
12.メディア・情報・コミュニケーションをテーマとした例
- 社会における「ふるさと納税」の捉えられ方――人々の関心と各メディアとの関連性
- 戦前期・戦中期の新聞報道における〈寄付〉の語られ方
- 朝ドラにおけるヒロイン夫婦の描かれ方とその変遷
- 男性向けファッション雑誌に見る男性の恋愛観の変遷
- マンガに描かれた男性同性愛者の日常
- 東日本大震災における地域メディアの地域貢献――石巻地域をフィールドに
- 近代日本におけるスポーツ放送における実況スタイルの創造/編成
- アニメ・オタク消費空間とアニメ・オタク批評消費空間
- 若者はどのように音楽を聴いているのか――違法アプリからサブスクへの移行
- インターネット生起現象と社会現象との繋がりから見えるもの――炎上現象とハラスメント問題を事例として
13.社会運動・市民活動、NPO/NGOなどの役割をテーマとした例
- 若者の社会運動を辿る――学生運動が下火になったと語られた時代を中心に
- 脱原発デモとインターネット
- 社会運動の担い手としての博物館――「海の博物館」を事例に
- ハッシュタグ・アクティヴィズムの可能性と課題――「#検察庁法改正案に抗議します」のフレーム分析
- 埼玉県における公立夜間中学設立運動の形成と変容
- 地方都市における市民活動とNPO
- 人びとはなぜボランティア活動にコミットし続けるのか――学習支援NPOの事例から
- 海外NGOと教育支援活動――バングラデシュを事例にして
- ヘルスツーリズムの波及効果――A地区健康ウォーキングの事例から
- 子ども食堂がつくる「つながり」
- 沖縄祖国復帰運動の複数性を読み解く――沖縄本島、宮古島、在京沖縄県人
- 三井三池炭鉱における歴史の継承をめぐるポリティクス
14.国家・政治・権力と政治参加をテーマとした例
- 指定管理者制度における住民との協働の可能性
- 変容する中国の若者たちのナショナリズム
- インドネシアにおけるジェンダー平等と女性の人権
- 社会国家という空間の誕生
- ネット空間における政治的分断の現在
- 在日ミャンマー人の民主化運動に参加する人びとのリアリティ
- 若者の「選挙離れ」はいけないことか――主権者教育を再考する
・・・等々、とても多様です。いくつか例にあがっているように、複数のテーマにまたがった卒論もあります。
卒業論文? 研究テーマには、具体的にどんなものがありますか?