第91 回日本社会学会大会 社会学教育委員会企画セッション(ラウンドテーブル)
大学院・お悩み相談室「昌子の部屋」 お題「 3 年間で博士学位を出す方法」
室長 石井クンツ昌子(お茶の水女子大学)
相談員 稲葉昭英(慶応義塾大学)
白鳥義彦(神戸大学)
相談者 松本 康(立教大学)
戦後、課程制大学院制度が導入されてからこのかた、人文・社会系大学院は、標準修了年限で学位を出す方法を編み出せないまま70年が経とうとしている。理工系・医歯薬系が、新制大学院制度の趣旨にしたがって博士学位を〈普通に〉授与しているなか、人文・社会系はいまだに「末は博士か大臣か」の感覚から抜け出せず、かといって学位を出さない大学院博士(後期)課程が国際的に通用するはずもなく、いったいどうやったら4年で学部を卒業するのと同じように、3年間で博士課程を修了させることができるのかと、悩みは深まるばかりである。
大学院のパフォーマンスは、標準修了年限で授与された学位の数によって測られる。3年で学位が出せないような大学院は不要だ、という声が霞ヶ関三丁目から聞こえてくる昨今、いよいよ本気で、博士(後期)課程の「3年間で学位を出す方法」を編み出さなければならない。これはとりもなおさず、社会学の大学院を存続させる方法でもあり、ひいては社会学を担う次世代を再生産する方法でもある。そして、学生会員にとっては「3年間で学位を取得する方法」でもある。
このお題に正面から向き合おうとすると、話は、大学院の制度的整備とその運用としての研究指導にとどまらず、学会大会や学会誌査読の機能にまで広がっていく。社会学教育委員会では、〈現段階では正解がない〉という認識のもとに、海外の学会でのラウンドテーブル方式を導入して、ポップなスタイルでフリーディスカッションを始めたいと考え、本企画を用意した。会員諸氏の積極的な参加を呼びかけたい。
(社会学教育担当理事 松本康)