社会学教育委員会企画テーマセッション「探究学習を通じた高大連携」
社会学教育委員会は、今期、社会調査教育と共に、「探究」学習を主としてそれを通じた高大連携について、調査と考察を行っている。
「探究」学習は、文科省の教育制度の改革、入試制度、地域も含め様々な高校のありようの中で、高校の中でどのように実践され、それは大学や大学教育とどのように接続しているのかを、いくつかの事例を通して考察する。そこにおける社会学教育の可能性についても考察する。総合的な学習=探究の時間は、「変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目的とする」(文科省)ものとして、新しい学習指導要領において、2020年から小学校、2021年度から中学校、2022年度から高校で実践されている。これまでもPBLやアクティブ・ラーニングなどの新しい教育方法は試みて来られたが、「教育」から「学習」、「学力の3要素」(「知識・技能」「思考力・判断力」「主体性・多様性・協働性」)の設定、大学に至ってはDP・CP・APとそれを軸とした内部質保証とその評価のように、制度改革は、教育の現場にじわじわと影響を与えつつある。一方、高大接続改革で目指される入試改革については、従来の学力主義・学歴競争の持続と偏差値による安定した階層形成は少子化も相まっていまだ維持されており、ここで目指された高校接続改革はうまく行かなかったとする声もある。
探究学習は、高校において、一方で教科学習との質の大きな差異によって教育の分断を生むか、他方では実験校も含め高校全体を巻き込む実践を行う探究校を作り出すなど、さまざまな様態を生んでいる。また、入試においては、国立大学を中心として「探究型入試」のルートの増加によりその受験に接続する新たな高校の学習や受験生を生んでいる。また私大に多い附属高校を中心とする高大接続において、探究学習は接続のツールとなっている。
探究学習で扱う社会的課題は、社会学のテーマと親和性があり、調査において社会学の方法と親和性を持つ。そのような可能性において、いくつかの事例を通して、社会学教育と高校生の接点について考察する。
日時:2025年11月15日(土)15:00~18:00
会場:一橋大学国立キャンパス東一号館1101教室
登壇者
司会および基調報告:樫村愛子(愛知大学、社会学教育委員会副委
報告者(報告順):森田次朗(中京大学、社会学教育委員会委員)
都村聞人(神戸学院大学、社会学教育委員会委員)
元治恵子(明星大学、社会学教育委員会委員)
大前吉史(神戸海星女子学院中学校・高等学校 探究活動推進委員会委員長・地歴公民科特別講師)
村井昂介(京都市立開建高等学校 研究開発主任・地歴公民科教諭)
コメンテーター:天田城介(中央大学、社会学教育委員会委員長)