【3月2日追記】【開催中止】日仏社会学国際シンポジウム中止のお知らせ
新型コロナウイルスの感染拡大の状況に鑑み、また海外からのシンポジストの来日が取り止めとなったため、2020年3月9・10日(奈良)および3月20日(東京)に予定されていました本国際シンポジウム・ラウンドテーブルの今年度の開催は中止となりました。参加を予定してくださっていた方々にはお詫び申し上げます。
【奈良会場】日仏社会学国際シンポジウム&ラウンドテーブル
■シンポジウム<<社会学と人類学:比較分析の方法>>
2020年3月9日(月)13:30~18:00
於:奈良女子大学コラボレーションセンター Z306
■ラウンドテーブル 3月10日(火) 10:30~12:30
於:奈良女子大学文学系N棟 N339(通訳あり)
内容:サルモン氏を囲みフランスや日本の社会学事情・社会事情などについて自由に歓談
<アクセス> http://www.nara-wu.ac.jp/nwu/intro/access/map/index.html
奈良女子大学学内地図 http://www.nara-wu.ac.jp/nwu/intro/access/campusmap/index.html
コラボレーションセンターZ306室はマップ右上の「33」建物3階
文学系N棟は、正門入ってすぐ右の「5」建物3階
■詳細プログラム 3/9奈良開催分■
<<社会学と人類学:比較分析の方法>>
Sociologie et anthropologie : méthodes d’analyses comparées
(司会)白鳥義彦
1.趣旨説明 13:30~13:40
2.講演 conférence 13:40~15:40
■ジルダ・サルモン Gildas Salmon
http://lier.ehess.fr/index.php?956
(国立科学研究センターCNRS・社会科学高等研究院EHESS)
神話の構造分析の誕生:デュルケーム、グラネ、レヴィ=ストロース
Naissance de l’analyse structurale des mythes: Durkheim, Granet, Lévi-Strauss
休憩 15:40~16:00
3.報告 interventions 16:00~16:40
■佐々木衞 SASAKI Mamoru(神戸大学名誉教授 Professeur émérite, Université de Kôbe)
フィールド研究における方法としての『比較』:中国社会研究の経験から
La «comparaison» comme méthode dans les recherches sur le terrain:
à partir de l’expérience des études sur la société chinoise
休憩 16:40~17:00
4.コメント discussion 17:00~17:20■ジルダ・サルモン
5.全体討論 discussion générale 17:20~18:00
(主催)日本学術振興会「学術研究動向等に関する調査研究」、日仏社会学会、デュルケーム/デュルケーム学派研究会
(共催)奈良女子大学社会学研究会、神戸大学社会学研究会
【奈良会場3/9シンポジウム各報告の要旨】
■ジルダ・サルモン Gildas Salmon (国立科学研究センターCNRS・社会科学高等研究院EHESS)
神話の構造分析の誕生:デュルケーム、グラネ、レヴィ=ストロース
Naissance de l’analyse structurale des mythes: Durkheim, Granet, Lévi-Strauss
本報告では、デュルケームの原理が、まずはマルセル・グラネにおいて、次いで彼を媒介としてレヴィ=ストロースにおいて、比較分析の新たな形式の出現を可能にしたその仕方を明らかにします。この系譜をたどることによって、しばしば主張されるような構造人類学とデュルケーム学派の諸原理との間の断絶という考えを相対化することが可能となります。
Nous allons retracer la manière dont les principes durkheimiens ont permis l’émergence d’une nouvelle forme d’analyse comparative des mythes d’abord chez Marcel Granet, et ensuite, par son intermédiaire, chez Lévi-Strauss. Suivre cette filiation permet de relativiser l’idée d’une rupture entre l’anthropologie structurale et les principes de l’école durkheimienne qui est souvent avancée.
■佐々木衞 SASAKI Mamoru(神戸大学名誉教授 Professeur émérite, Université de Kôbe)
フィールド研究における方法としての『比較』:中国社会研究の経験から
La «comparaison» comme méthode dans les recherches sur le terrain:
à partir de mes expériences des études sur la société chinoise
「比較」は現象を特定し、その原理や構造を理解する手法として一般に用いられる。人類学は、そもそも空間的にも、あるいは歴史時間的にも異なっていると見なされる社会と文化を研究対象とするので、自ずと「比較」という視点が入ってくる。比較を通じたモデルの構築は、社会と集団の構造と論理の経験的分析に欠かせない手法となっていることは言うまでもない。私の中国社会のフィールド研究からその具体的な手法を紹介して参考とする。
この前提として、当会のデュルケーム研究会の趣旨にそって、『自殺論』(1897)をテキストに「比較」がとのように使われているのかという問題を検討する。また、中国研究に大きな影響を与えたマルセル・グラネの『中国古代の祭礼と歌謡』(1919)のテーマにも触れる。さらに、グラネの研究に誘発された人類学者であるモーリス・フリードマンの研究(Lineage Organization in Southeast China,1958)を検討する。最後に、私のフリードマン・モデルを応用した中国社会研究を、「比較」という研究手法の視点から紹介する。この検討によって、デュルケーム以来の100年間における比較研究の展開の一つを概観してみたい。なお時間の制約があるので、グラネとフリードマンの研究はしごく簡単な紹介に留める。
【東京会場】日仏社会学国際シンポジウム
日時:2020年3月20日(金・祝)13:30~18:00
於:日仏会館601号室 東京都渋谷区恵比寿3-9-25 https://www.mfjtokyo.or.jp/
【ご注意】ご参加には、日仏会館ホームページ(下記)から参加の申込みが必要です
https://www.mfj.gr.jp/agenda/2020/03/20/2020-03-20_modernite_en_sociol/index_ja.php
【東京会場3/20 開催プログラム】
<<モダニティを問い直す:デュルケーム、ブルデュー、さらにその先へ>>
Repenser la modernité: Durkheim, Bourdieu et au-delà
(司会)白鳥義彦
1.趣旨説明 13:30~13:40
2.講演 conférence 13:40~15:40
■ジルダ・サルモン Gildas Salmon http://lier.ehess.fr/index.php?956
(国立科学研究センターCNRS・社会科学高等研究院EHESS)
近代人および非=近代人における機械的連帯と有機的連帯:ブルデューと進化主義の危機
Solidarité mécanique et solidarité organique chez les modernes et les
non-modernes: Bourdieu et la crise de l’évolutionnisme
休憩 15:40~15:50
3.報告 interventions 15:50~16:50
■川本彩花 Kawamoto Ayaka (日本学術振興会特別研究員・滋賀大学)
趣味と階層:文化資本の日本的状況
Goût et stratification sociale: situation japonaise du capital culturel
■山田陽子 Yamada Yoko (広島国際学院大学)
感情資本と新しい労働:有機的連帯の現代的位相
Capital émotionnel et nouveau travail: phase moderne de la solidarité organique
休憩 16:50~17:00
4.コメント discussion 17:00~17:20
ジルダ・サルモン
5.全体討論 discussion générale 17:20~18:00
(主催)日本学術振興会「学術研究動向等に関する調査研究」、日仏社会学会、デュルケーム/デュルケーム学派研究会
(共催)日仏会館・フランス国立日本研究所、公益財団法人日仏会館
【各報告の要旨】
■近代人および非=近代人における機械的連帯と有機的連帯:ブルデューと進化主義の危機
Solidarité mécanique et solidarité organique chez les modernes et les
non-modernes: Bourdieu et la crise de l’évolutionnisme
ジルダ・サルモン Gildas Salmon (国立科学研究センターCNRS・社会科学高等研究院EHESS)
本報告では、第二次世界大戦以後、とりわけブルデューにおいて、フランス社会学における機械的連帯と有機的連帯という二項対立がどのようになったのかを検討していきます。人類学に対して1960年代に向けられた、進化主義に対する批判にもかかわらず、この二項対立がブルデューの社会学と人類学とを構造づけていたこと、さらには、この二つのタイプの連帯が、近代社会ならびに非=近代社会の分析において異なる仕方で連関していることを明らかにすることが課題となります。
Nous allons examiner ce que devient la dualité entre solidarité mécanique et solidarité organique dans la sociologie française après la seconde guerre mondiale, et en particulier chez Pierre Bourdieu. Il s’agirait de montrer qu’en dépit de la critique de l’évolutionnisme qui s’impose en anthropologie dans les années 1960, cette dualité continue à structurer la sociologie et l’anthropologie bourdieusiennes, mais aussi de montrer que les deux types de solidarité s’articulent de manière différente dans l’analyse des sociétés modernes et non-modernes.
■趣味と階層:文化資本の日本的状況
川本彩花(日本学術振興会特別研究員・滋賀大学)
本報告では、ブルデューの文化的再生産論、およびそれを引き継ぐかたちで展開されてきた「趣味・好み」に関する社会学的研究について取り上げます。そして、それらの諸研究をふまえて、現代日本における文化(趣味)と社会階層との関係、および文化資本の状況などについて論じます。さらには、近年の日本における、たとえば古典芸能やサブカルチャー、音楽などをめぐる具体的かつ特徴的な文化事例・現象についても提示してみたいと考えています。
■感情資本と新しい労働:社会的連帯の現代的位相
山田陽子(広島国際学院大学)
本報告では、E.デュルケームの社会的連帯について、E.イルーズの感情資本の観点から再考する。有機的連帯の社会では、個人がますます自律的になる一方で分業を通した凝集性が高まると考えられているが、現代日本の雇用情勢や労働のあり方を見ると、労働者間の分断や感情管理を通した人的資源管理が進行し、連帯が困難な状況が生じているようにも思われる。こうした中で、今、個人の人格や社会的連帯とは何を意味するのだろうか。現代社会における分業と労働、個人の人格と社会的連帯について検討したい。