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イベント情報

2021年度家族問題研究学会大会開催のお知らせ(7月17日)

2021年度家族問題研究学会大会を、7月17日(土)にオンラインで開催します。大変な毎日をお過ごしのことと思いますが、みなさまのご参加をお待ちしております。

日時:2021年7月17日(土)10:30~17:30
開催形態:ZOOMによるオンライン形式
*後述するミーティング情報によりご参加下さい。
参加資格
[会 員]事前申し込みは不要です。ニューズレターに記載した参加手順に基づいてご参加ください。※入会ご希望の方は学会事務局まで別途お問い合わせください。
[非会員]事前申し込み制(定員100名)です。下記アドレスにアクセスし、必要事項を記載のうえ、お申し込みください。申し込み締切は、7月14日(水)です。ご登録いただいた方にミーティング情報などをお知らせします。
【参加申し込み】
https://docs.google.com/forms/d/1CPGDZRcVCeii1qyt_3sVlSNfVttpKIP4YvsowDGMEx0/viewform?edit_requested=true&form=MY01SV&OCID=MY01SV
参加費:無料

スケジュール:
10:20 ~: 参加者入室開始
10:30 ~ 12:30: 自由報告部会
( 12:30 ~ 13:50: 役員会・シンポジウム打ち合わせ)
13:50 ~: 参加者入室開始
14:00 ~ 17:00: シンポジウム
17:00 ~ 17:30: 総会

プログラム:
■自由報告部会(10:30 ~ 12:30)
司会:阪井裕一郎(福岡県立大学)・南山浩二(成城大学)

第1報告者:松本理沙(北陸学院大学)
報告題目:障害者のきょうだいが家族に対して行うケアに関する現状と課題:きょうだい関係とケア責任、将来の計画の観点から

第2報告者:リシュ(中央大学大学院)
報告題目:現代中国の地方都市に在住する中年世代の老親扶養問題:「成功した」人が扶養する規範の発生

第3報告者:栗村亜寿香(京都大学大学院)
報告題目:夫婦・カップル間の親密性をめぐる社会学的議論の検討:心理学的・セラピー的言説の影響に関する英語圏の議論に着目して

第4報告者:本多真隆(明星大学)
報告題目:戦後初期における一夫一妻制の性愛と倫理:1945~50年代前半の「性解放」への着目から

■シンポジウム(14:00 ~ 17:00)
テーマ:子育てと「家族の幸せ」―経済学と社会学の立場から―
趣 旨:家族社会学は久しく、子育てを重要かつ得意とする領域とし、発達心理学や教育社会学、ジェンダー論などの領域と相互に影響しつつ子育て研究を進展させてきた。 2019年には、山口慎太郎著『「家族の幸せ」の経済学 ― データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(光文社新書)が刊行されたことは記憶に新しい。家族の悩みにエビデンスでとこまで答えられるのかを統計学的研究に基づいて示している点が評価され、サントリー学芸賞の栄誉に輝くなど社会で大きな注目を浴びた本書は、家族研究への経済学の本格的越境を印象づけるものとなった。  家族社会学もエビデンスに基づき研究を進めている点では同様である。計量中心の経済学に対して、量的・質的研究の双方の蓄積があることが一つの違いと捉えることもできるが、はたして、「『家族の幸せ』の社会学」と「『家族幸せ』の経済学」にはどのような共通点と相違点が存在するのだろうか。  このような問題関心をふまえ、本シンポジウムでは、経済学者として家族にアプローチされている山口慎太郎氏と、社会学の立場から統計学的研究を用いて「家族の幸せ」にアプローチし、家族政策に対する提言をされてきた柴田悠氏のお二人を報告者としてお迎えした。そしてさらに、このお二人を有機的につなぐ触媒としての討論者の役割を、女性の就業と子育てについて統計学的手法も用いながら家族社会学に軸足を置いて研究をされている西村純子会員に担っていただく。 具体的には子育てをテーマとして取り上げ、経済学と社会学との対話を通して、「家族の幸せ」とは何かを考えるとともに、「家族の幸せ」にアプローチする家族社会学の視点、方法や解釈、学際的なコラボレーションの可能性について、フロアの皆さまとともに探ることができればと考えている。
司 会:宮坂靖子(金城学院大学)・阪井裕一郎(福岡県立大学)
討論者:西村純子(お茶の水女子大学)

報告者1:山口慎太郎(東京大学)
報告題目:「家族の幸せ」の経済学
要  旨: 本講演では、家族政策が「家族の幸せ」に及ぼす影響を実証的に評価した経済学研究を概観する。育休制度を整えることは、どのように本人の就業と子供の発達に影響するだろうか。育休制度は暗黙のうちに母親が取得するものと考えられがちであるが、近年は、父親の育休取得に注目が集まっている。父親の育休取得が本人のキャリア、家事・育児参加、子供の発達、そして妻の健康に及ぼす影響についての研究が見られるようになってきた。  一方、子どもが育つにつれて、若い親たちは育児休業を終えて職場に復帰する。その際に不可欠なのは保育所だ。保育所の利用が、親たちの就業や家事・育児分担、子どもの発達、さらには幸福度といったものまで幅広く影響を及ぼすことが明らかになってきている。  そして、こうした家族政策は「家族の幸せ」を高めることを通じて、出生率に対しても影響を及ぼすことが知られている。家族政策にはさまざまなものがあるが、出生率を高める上でより効果的な政策はどのようなものだろうか。経済学の理論と実証研究結果を紹介する。

報告者2:柴田 悠(京都大学)
報告題目:子育てと「家族の幸せ」―社会学の立場から―
要  旨:少なくとも社会学では、社会関係の潜在的機能や意図せざる結果を考慮に入れるので、家族関係のもたらす「幸福」だけでなく「不幸」にも着目する。そのうえで、「その不幸を、子育て支援や介護支援、両立支援などによって、いかに軽減できるか」という問題意識で研究することも多い。報告者も同様の問題意識で、「社会的に不利な家庭に生まれた子どもが、その生まれの不利によって成人後に被る不利(主観的幸福感の低さやそれに至る経路上の不利)、つまり『不利の親子間継承』を、公的支援によっていかに軽減できるか」を研究している。 日本での先行研究によれば、「不利の親子間継承」の端緒は幼児期(小学校入学前)にすでに見られるため、遅くとも幼児期からの支援が必要である。そこで報告者は、幼児期における比較的長期間・長時間の支援である「保育所通園」(を通じた支援)に着目している。現在の成人の大部分は、幼児期での支援として「保育所への長期通園」と「保育所や幼稚園への短期通園」のどちらかを経験している。そのため、幼児期での支援の(成人後まで及ぶ)長期的効果の一部は、「保育所長期通園群」と「短期通園群」との(傾向スコア等を揃えた)比較によって分析できる(日本での先行研究は見当たらない)。本報告ではその分析結果を紹介する。