日本社会学会(The Japan Sociological Society)は、社会学の研究を促進しその発展普及を図ることを目的とする全国的な研究者組織である。現在3600名をこえる会員を擁し、学会大会の開催や機関誌の発行などの学会活動をおこなっている。2019年10月25日に一般社団法人登記を行った。
学会は、1924年(大正13年)に設立され、翌25年の第1回大会以降、第二次大戦末期などを除いて毎年学会大会を開催し、2017年には第90回大会を迎える。また、機関誌として、『社会学雑誌』(1924-30)、『季刊社会学』(1931-32)、『年報社会学』(1933-43)、『社会学研究』(1944, 47-49)を刊行した後、1950年から『社会学評論』(季刊)を刊行しており、2016年度末には67巻、通巻266号に達した。さらに1992年からは、欧文機関誌として『IJJS (International Journal of Japanese Sociology)』を毎年1回発行し、2021年度には第30号を刊行した。なお同誌は、2022年に『JJS (Japanese Journal of Sociology)』に誌名を変更し、第31号から刊行中である。
学会の定款および運営規則では、大会の開催や機関誌の発行に加えて、共同調査研究、社会学教育の振興と研究の助成、他学会・研究団体との連絡提携、海外学会との連絡提携などの事業をおこなうこととされている。このうち海外学会との提携としては、1949年に創設された国際社会学会(International Sociological Association)の設立以来の有力メンバーであり、50年代にはその国際的な共同研究の一環として、社会階層と社会移動に関する共同調査を実施した。また1973年以来、数回にわたってアジア社会学会を主催している。
第二次大戦前には、少数の大学に社会学の講座が置かれるにとどまり、社会学研究者も少なかったことから、学会も小規模な組織であったが、大学に社会学関係の学部・学科・講座などが整備されるにともなって、研究者も急速に増加し、学会の会員数も1960年頃には1000名をこえるまでになった。と同時に、 50年代から60年代にかけて、北海道・東北・関東・関西・西日本など、地域ごとの学会組織の形成が進み、日本社会学会はこれらの地域学会とも連携しながら、全国的な学会大会の開催や機関誌の発行などの経常的な事業にとどまらず、学会の組織をあげての共同調査研究や、大学の教養課程のための標準的な教科書の編集など、多様な活動を展開してきた。その後さらに社会学研究者人口が増加し、学会の規模が拡大するにつれて、研究分野や研究方法も多様化し、それぞれの専門分野ごとにさまざまの社会学関連学会が組織されるようになった。今日、日本社会学会は、これらの地域別および専門分野別の学会組織と連携しながら、また国際的な連携協力をも進めながら、社会学研究の発展と普及、社会学教育の充実などを目指す活動を継続している。
そのような活動の一環として特筆に価するのは、「社会調査士」資格制度の創設である。社会調査に関する教育体制を整備し、調査を担当しうる人材を育成するとともに、その専門職としての資格の制度化を図ることの必要性は早くから認識され、日本社会学会ではすでに1991年から資格認定に関する検討がなされてきた。その後、日本教育社会学会、日本行動計量学会との連携協力のもとに、2003年11月には「社会調査士資格認定機構」が設立され、制度の適切な運営と普及定着への努力が続けられている。