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第97回日本社会学会大会 シンポジウム プログラム

日本社会学会創立100周年記念国際シンポジウム「激動する世界における社会学の役割」


日時:11月10日(日)13:00~14:55
会場:神山ホール

※このシンポジウムは同時通訳機器の配布のため、大会の参加登録とは別に、シンポジウムの参加登録(8月26日(月)受付開始予定)が必要です。

趣旨

今年 、日本社会学会は創立100周年を迎えます。それを記念して「激動する社会における社会学の役割」と題するシンポジウムを開催します。コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻など、世界は激しく変動しています。このような世界に社会学はどのように関われるのか、このような世界において社会学に期待される役割は何か、という問いに対する答えをシンポジウムで探求していきます。
登壇者には国際社会学会会長のGeoffrey Pleyers氏と東京大学名誉教授の上野千鶴子氏をお迎えして、それぞれの視点からシンポジウムのテーマに即した講演をしていただきます。講演の後は50分程度の質疑応答の時間を設けていますので、皆さんからの質問も大歓迎です。
知的刺激に満ちたシンポジウムですのでぜひお出でください。

日本社会学会 会長 佐藤嘉倫
理事 森千香子

登壇者紹介

Geoffrey Pleyers

国際社会学会会長・ルーヴァン・カトリック大学教授・国立科学研究基金(FNRS)上級研究フェロー。フランス社会科学高等研究院にて博士号取得。国際社会学会において長年活躍し、2023年に会長に選出される。専門は社会運動論。グローバル社会学の視座からマクロな社会変動の原動力としての社会運動の分析に取り組んでいる。著書・編著はMovimientos sociales en el siglo XXI. Perspectivas y herramientas analíticas(21世紀の社会運動-視座と分析ツール-)、Alter-Globalization. Becoming Actors in the Global Age(オルターグローバリゼーション-グローバル時代の主体となる-)など多数。

上野千鶴子

東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。京都大学大学院博士課程修了。平安女学院短期大学助教授、京都精華大学助教授、東京大学大学院教授、立命館大学特別招聘教授等を経て現職。この間にシカゴ大学をはじめ海外の多くの大学で客員研究員、客員教授を務める。専門は女性学、ジェンダー研究。サントリー学芸賞、朝日賞、フィンランド共和国 Hän Honoursを受賞し、2020年にアメリカ芸術科学アカデミー会員に選出される。著書は『近代家族の成立と終焉』、『ナショナリズムとジェンダー』、『おひとりさまの老後』、『こんな世の中に誰がした?-ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために-』など多数。

シンポジウム1 ダイバーシティ&インクルージョンの社会学——理論的・方法論的・実践的観点から


日時:11/10(日)15:10~18:00
会場:天地館 T204教室

趣旨

ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I と略記)が人口に膾炙して久しいが、そこで念頭に置かれているのはジェンダー、エスニシティ、年齢、障害など特定の指標においてマイノリティの立場に置かれている人々であり、その人々をいかに「差別的でなく取り扱いうるか」が論点とされてきた。しかしこのシンポジウムでは、まず、マジョリティとマイノリティを分かつ線引きが、実は恣意的かつ流動的であり、誰もが何らかの点でつねに社会的包摂から取り残される立場となりうることを前提としたい。たとえばいつ・誰が災害や事故の犠牲となるかはわからない。人は生まれる国や出自、文化を自ら選ぶことはできず、同じジェンダー内部でも抑圧や排除の関係は生成されうる。日常と非日常が交差する瞬間こそが、新たな──しかしすでに潜在していた──インターセクショナリティが鮮明に可視化される瞬間である。また、D&I は並列で語られることが多いが、実際には複雑な関係性があることも留意する必要があるだろう。多様性と社会的包摂をめぐるジレンマに関していかなる議論と実践が重ねられているのかを報告者・コメンテーターそれぞれのフィールドから論じ、さらに狭義の「当事者」を解体することの可能性についても検討していきたい。さらに、アカデミック・フィールドにおけるD&I の取り組み自体のなかに、すでにジェンダーバイアスが含まれ組み込まれていることと、それがD&I に対する理解を広がりにくくしている構図も振り返る。
D&I という主題に対し、報告者・コメンテーターは方法論的多様性の観点から構成される。2名の討論者は3報告に対するコメントに加えて、計量社会調査を通じたアプローチ、および大学におけるボトムアップ型の活動についても触れる。フロアとの対話を通じて、社会学に何ができるかを考える機会としたい。

1 分断修復のための社会調査が抱える矛盾:福島親子調査参加者との13 年をふり返って 中京大学 成元哲
2 生きやすさを模索する学びの場創り~多文化共生教育実践を通して 文教大学 孫美幸
3 社会学は包摂のために何ができるか:ダイバーシティ、インターセクショナリティと社会学研究 実践女子大学 山根純佳

・コメンテーター:中井美樹(立命館大学)、樋口麻里(北海道大学)
・司会:村上あかね(桃山学院大学)、原口弥生(茨城大学)
・研究活動委員会担当委員:石川由香里・橋本摂子・原口弥生・樋口麻里・村上あかね

シンポジウム2 若手のキャリアパス——世代・ジェンダー・地域の視点から


日時:11/10(日)15:10~18:00
会場:天地館 T205教室

趣旨

本シンポジウムでは、若手研究者がどのように自身のキャリアを構築していくか、またそれをどのように支援していけるのかを問う。
この間、大学院生に対する支援は徐々に拡充されつつある。科学技術振興機構(JST)の事業により、日本学術振興会特別研究員以外で生活費・研究費を得る手段が増えた。特別研究員制度自体も重複制限の緩和や副業の解禁、雇用身分の明確化といった漸進的な改善がなされている。しかし、いわゆる出口問題、すなわち大学院修了後のキャリアは不透明なままだ。18 歳人口の減少や運営費交付金の削減にともなう教員ポスト数の減少を背景に、多くは非常勤や任期付きの職からキャリアを始めることになる。その場合、経済的な問題にくわえ、雇い止めや任期切れの不安とともに研究を続けていかなくてはならない。また、その時期はライフコース上で結婚や育児と重なる場合もままあり、どこに住み、どのように働くかは研究のみならず人生設計上での問題ともなる。くわえて、こうした問題が認識され、支援が立ち上がる以前に若手の時期を過ごした、いわば端境期の研究者の存在も忘れてはならない。こうした環境下、大学院生・若手研究者は自身の生存戦略を考える必要があるし、中堅・シニアの研究者は、自身が育ったのとは異なる状況であることを理解した上で、大学院生・若手研究者を指導・支援しなくてはならない。
そこで本シンポジウムでは、今般の状況に通暁した先生方をお招きし、それぞれの視点から若手研究者支援についてご報告いただく。たしかに、マクロな環境に起因する問題がある以上、個々の支援は弥縫策に過ぎないかもしれない。しかし、それでもなお若手研究者への支援が喫緊の課題であることは論を俟たない。このシンポジウムが、世代間の認識を擦り合わせ、支援のあり方を建設的に考えるきっかけになることを期待している。

1 「非常勤講師職のパラドクス」の後に:若手研究者のキャリア形成をめぐる問題構図の変化 武蔵大学 林 凌
2 研究者の家族形成に必要な支援とは:別居婚でみえた課題(仮) 国立社会保障・人口問題研究所 竹内麻貴
3 大学改革と若手研究者問題の現代史――「大学院重点化世代」問題を忘却しないために(仮) 明治学院大学 石原 俊

・討論者:隠岐さや香(東京大学)
・研究活動委員会担当委員:石島健太郎、川野英二、黒川すみれ、西村純子

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