本文中で言及もしくは引用した文献は,漏れのないようにすべてを文献リストに記載しなければならない.ぎゃくに,文献リストにあげられた文献は,かならず本文中に対応する文献注がなければならない.『社会学評論』への投稿論文は文字数制限があるので,いわゆる参考文献の記載はしない.
文献の記載法にはさまざまな方式があるが,このスタイルガイドでは,欧文の文献であれ邦文の文献であれ,原則として記載事項のあいだはカンマで区切り(一部コロンを使用する.また,煩瑣を避けるために邦文の文献では不要なカンマは省略する),文献記載の末尾にピリオドをつける方式を採用する.
文献は,[注]の後に,やはり1行あけて,[文献]という見出しの下に,和文の文献も欧文の文献も含めてすべての文献を,著者または編者(共著・共編書の場合は筆頭者)の姓のアルファベット順にリストアップする.なお,日本人の著者名については,原則としてヘボン式ローマ字表記によることとするが,著者本人が独自のローマ字表記を採用している場合にはそれを尊重する.韓国人,朝鮮人,中国人などの著者名については,著者本人のアルファベット表記,もしくは各民族名の標準的なアルファベット表記法にしたがえばよい.
なお,ひとつの文献にかんする書誌情報を記載しおえるまでは,途中で改行することなく,続けて入力すること.ひとつの文献の記載が複数行にわたるときは,2行目以降は全角で2文字分字下げする.上記の形式を守れるのであれば,ワープロソフトのインデント機能等を使用してもかまわない.
また,同一著者の複数の文献を記載するときは,2つめ以降の文献の表示には,氏名の代わりに,――――(4倍ダッシュ)を用いる.
同一著者の文献に,単著のほかに,編書や,その著者がファーストオーサーとなった共著や共編書がある場合には,単著,単独の編書,共著,共編書の順にリストアップする.なお,同一のカテゴリーに複数の文献がある場合には,出版年の早いものから順に記載する.さらに,同一著者の同一カテゴリーの同一年度の文献が複数ある場合には,1991a, 1991bなどと,出版年の末尾に小文字のアルファベットを順につけて区別する.
われわれのこれまでの論文審査の経験では,文献注に対応する文献が文献リストに見られなかったり,文献注での出版年と文献リストでの出版年にズレが見られることがしばしばあった.また,著者名や書名・論文名の記載に間違いが見られるケースも多い.したがって,文献リストの作成にあたっては,引用文の場合と同様に,細心の注意をはらう必要がある.じっさい,ASA Style Guideも,文献リストについては細部にわたるダブルチェックを要求している.
欧文の文献の記載にあたっては,すべて半角文字(欧文モード)で入力すること.以下,さまざまなケースについて,記載法と例を示す.
著者のラストネーム, ファーストネーム ミドルネーム, 出版年, タイトル: サブタイ トル, 出版都市名: 出版社名. |
Broadbent, Jeffrey, 1998, Environmental Politics in Japan: Networks of Power and Protest, New York: Cambridge University Press. |
著者名のファーストネームをイニシャルのみにしてもよい(Broadbent, J.)が,ひとつの論文の文献リストでは一貫した記載の仕方をしなければならない.
タイトルとサブタイトルは,イタリック体にする(イタリック体がうてない場合はアンダーラインをつけておく).タイトルとサブタイトルのあいだは,半角コロンと半角スペースでつなぐ.コロンの代わりに,―(全角ダッシュ)や-(全角ハイフン)を用いてはならない.
英語の本のタイトルとサブタイトルは,途中の冠詞と前置詞・接続詞を除き,単語の最初を大文字にする.ドイツ語の本の場合は,タイトルとサブタイトルの冒頭の文字および途中に出てくる名詞の最初の文字を大文字にする.フランス語の本の場合は,固有名詞を除き,タイトル全体の冒頭の文字のみを大文字にする.かりに,原書のタイトルがすべて大文字で書かれている場合でも,この文献記載法にしたがわなければならない.
以上で,本のタイトルの記載法は説明ずみとなったので,以下では,いちいち,「タイトル: サブタイトル」とはせず,たんに「タイトル」と表記する.
出版都市名と出版社名のあいだは,半角コロンと半角スペースでつなぎ,最後にかならずピリオドをうつ.
ファーストオーサーのラストネーム, ファーストネーム ミドルネーム and 共著者の ファーストネーム ミドルネーム ラストネーム, 出版年, タイトル, 出版都市名: 出版社名. |
Berger, Peter L. and Brigitte Berger, 1972, Sociology: A Biographical Approach, New York: Basic Books. |
ファーストオーサーの氏名の記載にあたってラストネームを先にするのは,前述のとおり,文献リストを著者の姓のアルファベット順に並べるためである.したがって,共著者の氏名については通常の語順のままとする.なお,著者名をつなぐandは&としてもよいが,一貫性を保たなければならない.
共著者が3人以上の場合は,著者名はカンマでつなぎ,最後の著者名だけand(ドイツ語の文献の場合はund,フランス語の文献の場合はet)でつなぐ.文献リストにおいては,「ほか」「et al.」といった省略をせず,すべての共著者名を記載する.
編書の場合の氏名の記載法も同じであるので,以下では,たんに,著者名,編者名などと簡略に表現する.
編者名 ed., 出版年, タイトル, 出版都市名: 出版社名. |
Douglas, Jack ed., 1970, Understanding Everyday Life, Chicago: Aldine. |
編者名の後にed.を入れる.ただし,編者が団体であるときはed.の記載を省略してもよい(ひとつの論文のなかでは省略するかしないか一貫させること).
編者が複数の場合は,つぎのように編者名の後にeds.を入れる.
編者名 and 共編者名 eds., 出版年, タイトル, 出版都市名: 出版社名. |
Rubington, Earl and Martin Weinberg eds., 1965, Deviance: The International Perspective, New York: Macmillan. |
著者名, 出版年, “論文のタイトル,” 編者名 ed., 本のタイトル, 出版都市名: 出版社名, 論文の初ページ-終ページ. |
Mayer, Margit and Poland Roth, 1995, “New Social Movements and the Transformation to Post- Fordist Society,” Marcy Darnovsky, Barbara Epstein and Richard Flacks eds., Cultural Politics and Social Movements, Philadelphia: Temple University Press, 299-319. |
編書のなかに収録された論文のタイトルには “ ” をつける(イタリック体にはしない).本のタイトルの記載の場合と同じ要領で,必要に応じて単語の最初の文字を大文字にする.論文のタイトル中に “ ” が使われているときは, ‘ ’ に変える.編者名は,ラストネームを先にせず,通常の語順のままとする.末尾に論文のページ数を記載する.
著者名, 出版年, “論文のタイトル,” 雑誌名, 巻(号): 論文の初ページ-終ページ. |
Abbott, Andrew, 1995, “Things of Boundaries,” Social Research, 62(4): 857-82. |
雑誌論文のタイトルの記載も,編書論文の場合と同様にする.雑誌名はイタリック体にする.巻号は,Vol. 62, No. 4であれば,上の例のように,巻数の後に続けて半角の丸カッコ内に号数を記載する.巻(号)の後に半角コロンと半角スペースでつないで,論文のページ数を記載する.巻号(Vol. No.)によって刊行されている雑誌のページ数の記載にあたっては,当該雑誌の号によるページ数ではなく,その巻を通してのページ数を記載する.同じ巻でのページ数の重複による混乱を避けるためである.
英語以外の言語で書かれた原典を英語に翻訳した文献を文献リストに載せる場合には,まず,原典の書誌情報を記載し,ついで半角の丸カッコ内に( .)のかたちで翻訳文献の書誌情報を記載する.まず,本の場合,続いて,編著論文の場合の記載法を例示しておく.その他の外国語に翻訳した文献もこれに準じる.
原典の書誌情報.(翻訳者名, trans., 翻訳の出版年, タイトル, 出版都市名: 出版社名.) |
Bourdieu, Pierre, 1989, La noblesse d’état: Grandes écoles et esprit de corps, Paris: Les Editions de Minuit. (Lauretta Clough, trans., 1996, The State Nobility: Elite Schools in the Field of Power, Oxford: Polity Press.) |
原典の書誌情報.(翻訳者名, trans., 翻訳の出版年, “論文のタイトル,” 編者名 ed., 本のタイトル, 出版都市名: 出版社名, 論文の初ページ-終ページ.) |
Bourdieu, Pierre, 1983, “Vous avez dit ‘populaire’?,” Actes de la recherche en sciences sociales, 46: 98-105. (Gino Raymond and Matthew Adamson, trans., 1991, “Did You Say ‘Popular’?,” John Thompson ed., Language and Symbolic Power, Cambridge: Harvard University Press, 90-102.) |
著者名, [初版の出版年] 手元の版の出版年, タイトル, 版数, 出版都市名: 出版社名. |
Simpson, George Eaton and J. Milton Yinger, [1953] 1972, Racial and Cultural Minorities: An Analysis of Prejudice and Discrimination, 4th ed., New York: Harper & Row. |
手元にある版の出版年の前に半角の角カッコ[ ]を用いて初版の出版年を記入し,タイトルの後に版数を記載する.
K. マルクスなどの著作で,草稿のまま生前には出版されなかった文献をあげる場合に,執筆年度を明示したいときにも,これに準じた記載をしてよい.
初出誌にかんする書誌情報. Reprinted in: 再録編著書にかんする書誌情報. |
より具体的に示せば,一般的にはつぎのとおり.
著者名, 初出誌の出版年, “論文のタイトル,” 初出雑誌名, 巻(号): 論文の初ページ-終ペー ジ. Reprinted in: 編者名ed., 再録編著書の出版年, 編著書のタイトル, 出版都市名: 出版社名, 論文の初ページ-終ページ. |
McCarthy, John D. and Mayer N. Zald, 1977, “Resource Mobilization and Social Movements: A Partial Theory,” American Journal of Sociology, 82(6): 1212-41. Reprinted in: Mayer N. Zald and John D. McCarthy eds., 1987, Social Movements in an Organizational Society: Collected Essays, New Brunswick: Transaction Publishers, 15-42. |
初出誌にかんする書誌情報の記載の後に,Reprinted in: に続けて,再録編著書にかんする書誌情報を記載する.なお,初出誌の書誌情報と再録編著書の書誌情報で重複する部分(通常は著者名および “論文のタイトル” )は,記載を省略してよい.ただし,再録にあたり “論文のタイトル” が変更されたような場合は,その記載を省略しない.上記の例では,共著者名の順番が入れ替わっているので,著者名を省略しなかった.
なお,文献注を記載するさいには,前述したとおり,(McCarthy and Zald [1977] 1987)と記載すればよい.
英語,フランス語,ドイツ語以外にも,さまざまな言語――中国語,朝鮮語・韓国語,ロシア語,アラビア語等々――による文献がある.それらについては,「欧文の文献」および「邦文の文献」を参考にして,投稿者の責任で文献の記載をしてほしい.
邦文の文献の記載にあたっては,出版年と巻号およびページの数字と一部のカッコ記号を入力する以外は,カンマ,ピリオドも全角文字で入力すること.
著者名などの氏名の記載法については,姓と名前のあいだにスペースを入れる方式もあるが,編集委員会としては,姓と名前のあいだにスペースを入れない方式を採用することにした.中国人,韓国人,朝鮮人などの漢字表記による氏名も同様にする.
以下,さまざまなケースについて,記載法と例を示す.
著者名,出版年,『タイトル――サブタイトル』出版社名. |
稲上毅,1981,『労使関係の社会学』東京大学出版会. 真木悠介,1977a,『現代社会の存立構造』筑摩書房. ――――,1977b,『気流の鳴る音』筑摩書房. 小熊英二,1995,『単一民族神話の起源――〈日本人〉の自画像の系譜』新曜社. |
書名には二重かぎカッコ『 』をつける.なお,本の判が新書や文庫であっても,たとえば,ちくま新書や岩波文庫とは書かずに,筑摩書房,岩波書店などと,出版社名を記載する.
書名にサブタイトルがあるときは,タイトルとサブタイトルのあいだは,――(2倍ダッシュ)でつなぐ.論文にタイトルをつけるときは,サブタイトルの前後に――(2倍ダッシュ)をつけるが,文献リストを記載するさいには後ろのダッシュは省略する(論文名にサブタイトルがある場合も同様とする).なお,文献の奥付けでのサブタイトルの記載において,スペースや:(コロン)などの記号が用いられている場合でも,――(2倍ダッシュ)でもってサブタイトルの表示をする.
また,講座名など,かならずしもサブタイトルとは言えない語句と書名とが併記されている場合は,たとえば,『講座社会学 12 環境』というかたちで,基本的には奥付けに記載されたままを記入し,各語句のあいだに半角のスペースを入れる.「新版」「第2版」などの書誌情報も同様に扱う.
ファーストオーサーの氏名・共著者名,出版年,『タイトル』出版社名. |
宮島喬・梶田孝道・伊藤るり,1985,『先進社会のジレンマ』有斐閣. 杉本良夫/ロス・マオア,1995,『日本人論の方程式』筑摩書房. |
共著者の氏名はナカグロでつなぐ.ただし,カタカタ書きの外国人名を含む場合には,ナカグロに代えて,全角のスラッシュを用いる.また,欧文の文献同様,文献リストにおいては,「ほか」「et al.」といった省略をせず,すべての共著者名を記載する.
編者名編,出版年,『タイトル』出版社名. |
高坂健次・厚東洋輔編,1998,『講座社会学 1 理論と方法』東京大学出版会. |
編者名の後に「編」の字を入れる.ただし,編者が団体であるときは「編」の記載を省略する.
著者名,出版年,「論文のタイトル」編者名編『本のタイトル』出版社名,論文の初ペー ジ-終ページ. |
舩橋晴俊,1998,「環境問題の未来と社会変動――社会の自己破壊性と自己組織性」 舩橋晴俊・飯島伸子編『講座社会学 12 環境』東京大学出版会,191-224. |
論文のタイトルにはかぎカッコ「 」をつける.論文のタイトル中に「 」が使われている場合には,そのカッコは『 』に変える.末尾にページ数を記載する.
また,共著の本に収録された論文についても,同様に記載する.
著者名,出版年,「論文のタイトル」共著者名『本のタイトル』出版社名,論文の初ペー ジ-終ページ. |
高橋徹,1965,「日本における社会心理学の形成」高橋徹・富永健一・佐藤毅『今日 の社会心理学 1 社会心理学の形成』培風館,317-505. |
著者名,出版年,「論文のタイトル」『雑誌名』巻(号): 論文の初ページ-終ページ. |
佐藤嘉倫,1998,「合理的選択理論批判の論理構造とその問題点」『社会学評論』 49(2): 188-205. |
巻号は,第49巻第2号であれば,上の例のように,巻数の後に続けて半角の丸カッコ内に号数を記載する.巻(号)の後に半角コロンと半角スペースでつないで,論文のページ数を記載する.なお,巻号の代わりに,第○号,第○集,第○輯などを用いている場合にも,その号数のみを記載すればよい.巻号によって刊行されている雑誌のページ数の記載にあたっては,当該雑誌の号によるページ数ではなく,その巻を通してのページ数を記載する.同じ巻でのページ数の重複による混乱を避けるためである.
また,原則として雑誌論文の場合は出版社名(発行元)を記載する必要はないが,雑誌名だけでは発行元がわかりにくいときは,つぎのように『雑誌名』の後に発行元を記載する.
著者名,出版年,「論文のタイトル」『雑誌名』発行元,巻(号): 論文の初ページ-終ページ. |
桜井厚,1993,「ライフヒストリー調査雑感」『三色旗』慶應通信,549: 11-4. |
外国語の文献の和訳を文献リストに載せる場合には,まず,原典の書誌情報を記載し,ついで全角の丸カッコ内に( .)のかたちで和訳の書誌情報を記載する.そのさい,原典の欧文の文献の末尾には半角のピリオドを,和訳の書誌情報の末尾には全角のピリオドをうつことを忘れないこと.まず,本の場合,続いて,論文の場合の記載法を例示しておく.
原典の書誌情報.(訳者名訳,翻訳の出版年,『訳書のタイトル』出版社名.) |
Fromm, Erich, 1941, Escape from Freedom, New York: Reinehart and Winston.(日高六郎訳, 1951,『自由からの逃走』東京創元社.) |
原典の書誌情報.(訳者名訳,翻訳の出版年,「翻訳論文のタイトル」所収書の編者名 編『所収書のタイトル』出版社名,翻訳論文の初ページ-終ページ.) |
McCarthy, John M. and Mayer N. Zald, 1977, “Resource Mobilization and Social Movements: A Partial Theory,” American Journal of Sociology, 82(6): 1212-41.(片桐新自訳,1989, 「社会運動の合理的理論」塩原勉編『資源動員と組織戦略――運動論の新パラダ イム』新曜社,21-58.) |
なお,共訳の場合は,訳者名のあいだはナカグロでつなぐ.
初出誌にかんする書誌情報.(再録:再録編著書にかんする書誌情報.) |
より具体的に示せば,一般的にはつぎのとおり
著者名,初出誌の出版年,「論文のタイトル」『初出雑誌名』巻(号): 論文の初ペー ジ-終ページ.(再録:編者名編,再録編著書の出版年,『編著書のタイトル』出 版社名,論文の初ページ-終ページ.) |
吉田民人,1974,「社会システム論における情報――資源処理パラダイムの構想」『現 代社会学』1(1): 7-27.(再録:1990,『情報と自己組織性の理論』東京大学出版会, 153-72.) |
初出誌にかんする書誌情報の記載に続いて,全角の丸カッコ内に(再録: .)のかたちで再録編著書にかんする書誌情報を記載する.なお,初出誌にかんする書誌情報と再録編著書にかんする書誌情報で重複する部分(通常は著者名および「論文のタイトル」)は,記載を省略してよい.ただし,再録にあたり「論文のタイトル」が変更されたような場合は,その記載を省略しない.
なお,文献注を記載するさいには,前述したとおり,(吉田 [1974] 1990)と記載すればよい.
これまでに説明してきたところを,適宜組み合わせれば,ほとんどのケースの文献の記載が可能なはずである.なお,出版年が不明な場合は,出版年の代わりにn.d.と記載する(n.d.はno dateの略語である).近刊の文献の場合は,出版年の代わりに,邦文の文献であれば「近刊」,英文の文献であればforthcomingと記載する.稀なケースについては,適宜,ASAなど他の社会学会誌の文献記載法を参照されたい.
研究代表者名,刊行年,『研究課題名』○○年度科学研究費補助金研究成果報告書(課 題番号),研究機関名. |
神原文子,1999,『同和地区における子育ての現状と課題に関する実証研究』1996- 1998年度科学研究費補助金研究成果報告書(08451041),相愛大学. |
研究代表者のほかに研究分担者がいる場合には,研究代表者名の後に「編」をつける.研究実施の年度の表記は,上記の例のように元号でなく西暦に変えてもよい.科学研究費によるものには,課題番号を入れること.科学研究費によるもの以外の調査報告書の記載についても,上記に準ずる.
編集機関名,出版年,『タイトル』発行元. |
内閣府国民生活局,2009,『平成20年版国民生活白書』. |
静岡県,1972,『第8次静岡県総合開発計画』. |
政府刊行物については,発行元が「国立印刷局」(旧・大蔵省印刷局)であるときは,上記の例のように発行元の記載を省略してよい.
地方自治体などによる刊行物の場合で,編集元と発行元が同一のときにも,発行元の記載を省略してよい.
修士論文や博士論文を文献として利用する場合は,たとえばつぎのような記載の仕方をする.
著者名,論文提出年,「論文のタイトル」○○大学大学院○○学研究科○○年度修士論文. |
学会の大会における報告を文献として利用する場合は,たとえばつぎのような記載の仕方をする.
報告者名,大会開催年,「報告のタイトル」第○回日本社会学会大会報告原稿. |
3.8で述べたように,論文で引用または参照されている電子化された資料については,もれのないようすべて文献リストに記載する必要がある.以下,資料のタイプ別に述べる.なお,欧文の例については,アメリカ社会学会スタイルガイド(American Sociological Association 2007: 76-9, 105)より引用した.
電子書籍には,パソコンや携帯電話・携帯情報端末(PDA)などにダウンロードして閲覧するタイプとインターネットに接続した状態で閲覧するストリーミング形式のタイプとがある.デジタル著作権管理(Digital Rights Management, DRM)を考慮して以下のような書式にしたがうこととする.
電子書籍については,紙媒体の書籍の場合と同じ書誌情報に加え,その書籍を閲覧したさいに用いた媒体の種類を明示する(なお,インターネット利用の場合はURLと取得日を記載).
電子書籍(和文)
著者名,出版年,『タイトル』(紙媒体の刊行年,出版社),電子媒体出版社,(取得日, URL)または(フォーマット). |
藤竹暁,2008,『図説 日本のマスメディア(上)新聞・放送・出版』(2005,日本放送 出版協会刊),電子書店パピレス,(2009年1月10日取得,http://www.papy.co.jp/ sc/list/genre/030-043-020-000). |
電子書籍(欧文)
著者名, 出版年, タイトル, 出版地: 出版社, (取得日, URL)または(フォーマット). |
・CD-ROMで利用可能 Spalter-Roth, Roberta, Norman Fortenberry, and Barbara Lovitts, 2007, The Acceptance and Diffusion of Innovation: A Cross-Disciplinary Approach to Instructional and Curricular Change in Engineering, Washington, DC: American Sociological Association, (Available on CD-ROM only). |
・ダウンロードで利用可能 Edelman, Peter, Harry J. Holzer, and Paul Offner, 2006, “An Introduction,” Reconnecting Disadvantaged Young Men, (Retrieved December 12, 2006, http://www.urban.org/expert). |
電子ジャーナルには,電子媒体でのみ提供されている雑誌と,紙媒体でも提供されている雑誌がある.以下,それぞれのケースに即して述べる.
電子媒体でのみ提供されている雑誌は,下の例にしたがう.なお,「3.8 ウェブ文書からの引用」を参照すること.
著者名, 出版年, “論文のタイトル,” 雑誌名, 巻(号), (取得日, URL). |
Schafer, Daniel W. and Fred L. Ramsey, 2003, “Teaching the Craft of Data Analysis,” Journal of Statistics Education, 11(1), (Retrieved December 12, 2006, http://www.amstat.org/ publications/jse/v11n1/schafer.html). |
紙媒体と電子媒体の両方で提供されている雑誌は,紙媒体で利用する場合と電子媒体で利用する場合がある.紙媒体で利用した場合は,4.2および4.4にしたがい書誌情報を記載する.電子媒体で利用した場合は下の例にしたがう.なお,JSTORなどのデータベースを用いて参照した場合は,データベース名を記載する.
紙媒体・電子媒体で提供される雑誌(和文)
著者名,出版年,「論文のタイトル」『雑誌名』巻(号): 論文の初ページ-終ページ,(取 得日,URLまたはデータベース名). |
渡邊勉・竹ノ下弘久,2008,「特集 階層移動研究の最前線」『理論と方法』23(2): 1-3, (2009年1月10日取得,http://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjams/23/2/23_2_1/_article/- char/ja/). |
紙媒体・電子媒体で提供される雑誌(欧文)
著者名, 出版年, “論文のタイトル,” 雑誌名, 巻(号): 論文の初ページ-終ページ, (取 得日, URLまたはデータベース名). |
Scott, Lionel D., Jr. and Laura E. House, 2005, “Relationship of Distress and Perceived Control to Coping with Perceived Racial Discrimination among Black Youth,” Journal of Black Psychology, 31(3): 254-72, (Retrieved December 16, 2006, JSTOR). |
ウェブページ・ブログなどウェブサイト上に掲載された文書についても,紙媒体と同じ順序で,同様な文献情報を記載する.さらに,出版年(最終更新年)に加えて取得日(アクセス日)を記載する.紙媒体と異なり,ウェブページやブログでは,著者名や出版年,ページ数などが不明の場合も多いが,このような場合の文献情報の取り扱いの詳細については,3.8に述べたとおりである.
書籍や雑誌論文と異なり,インターネット上で提供されるウェブ文書は,特に同じウェブサイトに掲載されている場合,「別文献として扱うか否か」の判断に迷うことが多いかもしれない.文献情報を構成する,「著者名・出版年(最終更新日)・タイトル・文書の所在」のいずれかが異なれば,別文献として扱うのが原則である.したがって,著者名などが同じであっても,①言及箇所のURLが異なる場合や,②言及箇所のURLは同一でも言及された2つの記事の更新日が異なれば,別文献として扱うことになる.
「タイトル」(“タイトル”)には,サイト全体のタイトル(ホームページのタイトル)ではなく,ウェブページのタイトルを記載する.欧文のウェブページについては,ウェブサイトの運営機関名やその所在地が判明している場合は,それらを記載する.和文と欧文について例を示す.
ウェブページ(和文)
著者名,最終更新年,「タイトル」,ウェブサイト名*,(取得日,URL). |
・文書が固定した出版年をもつ場合 日本社会学会,2006,「日本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針」,日本社会学会ホー ムページ,(2009年2月2日取得,https://jss-sociology.org/wp/about/shishin.pdf). |
・最終更新日が判明している場合 山中速人,2004,「なにが人質を解放させたのか」,Yamanaka Research Office,(2009 年2月2日取得,http://www.asahi-net.or.jp/~cr1h-ymnk/kaiho.html). |
・最終更新日が不明な場合 日本社会学会,2009,日本社会学会ホームページ,(2009年2月2日取得,http:// www.gakkai.ne.jp/jss). |
*ホームページのタイトルが不明な場合は省略可.
ウェブページ(欧文)
著者名, 最終更新年, “タイトル,” ウェブサイト名*, 所在地: サイト運営機関名**, (取得日, URL). |
・文書が固定した出版年をもつ場合 Johns Hopkins University, 2003, “Economic Impact of the Johns Hopkins Institutions in Maryland,” Silver Spring, MD: Johns Hopkins University and Johns Hopkins Medicine, (Retrieved January 26, 2007, http://www.jhu.edu/ news_info/reports/impact/2003/ impact2003.pdf). |
・最終更新日が判明している場合 American Sociological Association, 2006, “Status Committees,” Washington, DC: American Sociological Association, (Retrieved December 12, 2006, http://www.asanet.org/cs/root/ leftnav/committees/committees). |
・最終更新日が不明な場合 ICPSR, 2009, “Mission Statement,” Ann Arbor, MI: University of Michigan, (Retrieved February 2, 2009, http://www.icpsr.umich.edu/ICPSR/org/mission.html). |
*ホームページのタイトルが不明な場合は省略可.
**不明な場合は省略可.
ブログについては,ブログ記事の作成日を文献情報に含め,記事が固有のURL(固定リンクまたはパーマリンク)をもつ場合はそれを記載する.また,「タイトル」(”タイトル”)には,ブログの名称ではなく言及した記事のタイトルを記載する.和文と欧文について例示すれば以下のとおり.
ブログ(和文)
著者名,最終更新年,「タイトル」,ブログ名*,記事作成日,(取得日,URL). |
渡辺潤,2009,「スポーツの値段」,珈琲をもう一杯film&tv,2009年1月5日,(2009 年2月2日取得,http://www.tku.ac.jp/~juwat/blog/film_blog/2009/01/post_54.html). |
*ブログ全体のタイトルを入れる.不明な場合は省略可.
ブログ(欧文)
著者名, 最終更新年, “タイトル,” ブログ名*, 記事作成日, (取得日, URL). |
DeLong, Brad, 2007, “Thomas Piketty and Emmanuel Saez Give Their Current View on American Income Inequality,” The Brad DeLong Blog, January 7, 2007, (Retrieved January 9, 2007, http://econ161.berkeley.edu/movable_type). |
*ブログ全体のタイトルを入れる.不明な場合は省略可.
その他には,以下のようなものが,現状では考えられる(新しいメディアについては,順次web版で修正をしていく予定である).
オンラインで提供されるデータベースには様々なものがある.代表的と思われるものについて,和文と欧文の例を以下に挙げておく.なお,オンラインデータベースの取得日を記載する必要があることに注意する.
オンラインデータベース(和文)
データ作成者名,作成年,「データ名」,(取得日,サイト名・URL等). |
総務省統計局,2007,「平成17年国勢調査第1表 労働力状態(8区分),年齢(各 歳),男女別15歳以上人口――全国(第2次基本集計)」,(2009年1月10日取得, http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/). |
オンラインデータベース(欧文)
データ作成者名, 作成年, “データ名,” (取得日, サイト名・URL等). |
National Center for Health Statistics, 2007, “Faststats, A to Z,” (Retrieved February 2, 2007, http://www.cdc.gov/). |
コンピュータファイルには様々なものがある.和文と欧文について,典型的な例を記載しておく.
コンピュータファイル(和文)
ファイル作成者名,作成年,『ファイル名称』[データ形式],提供機関名,入手先. |
大阪商業大学比較地域研究所・東京大学社会科学研究所,2003,『日本版General Social Surveys〈JGSS-2003〉面接票0350』[MRDF],大阪商業大学比較地域研究 所・東京大学社会科学研究所,東京大学社会科学研究所附属日本社会研究情報セ ンターより入手. |
コンピュータファイル(欧文)
ファイル作成者名, 作成年, ファイル名称[データ形式], 所在地: 提供機関名, 所在地: 入手先. |
American Institute of Public Opinion, 1976, Gallup Public Opinion Poll #965[MRDF], Princeton, NJ: American Institute of Public Opinion [producer]. New Heaven, CT: Roper Public Opinion Research Center,Yale University [distributer]. |
ウェブページ・ブログなどウェブサイト上に掲載された文書の所在は,出版社名等ではなくURLによって示す.URLの基本的な構造は下記のとおりであり,文献リストには,後述のケースを例外として,プロトコルから文書名に至るすべてを記載する(スペルミスを防止するためコピー&ペースト機能を活用するとよい).
文献リストには,該当箇所を直接閲覧可能なURLを記載しなければならない.ただし,以下①~③のいずれかに該当する場合は,ホームページまたはメニューページのURLを記載する.
①文書のフルテキストにアクセスするには購入手続きが必要となる場合
②言及する文書が百科事典,辞書等の参考資料である場合
③言及する文書がウェブページのフレーム内に掲載されている場合
フレームが使用されたウェブページは,URLを共有する,独立したいくつかのパートで構成されているが,言及の対象となるページへのリンクが含まれたホームページまたはメニューページのURLを文献リストに記載する.