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機関誌

記述上の約束事

1.1 和文は全角文字,欧文および算用数字は半角文字

『社会学評論』は,日本社会学会の機関誌であり,投稿論文の使用言語は日本語である.それゆえ,本文の大部分は,和文からなる.

和文を書くときには,原則としてすべて全角文字を使用しなければならない.漢字,ひらがな,カタカナのみならず,句読点やカッコ記号なども,全角文字を使用すること(このルールの例外については,そのつど述べる).

 ただし,欧文のアブストラクトなど,欧文を書く場合には,すべて半角文字を使用すること.その場合には,句読点(punctuation: periods, commas, colons and semicolons)もカッコ(parentheses)も半角文字を用いる.そして,punctuationの後ろにはかならず半角のスペースを入れる.また,parenthesesは,原則として,半角のスペースを入れてから用い,閉じた後にも半角のスペースを入れる.

文中に欧文文字の単語を書くだけのときも,半角文字を使用する.たとえば,NGOとはせずに,NGOとする.e t h n i c i t y とはせず,ethnicityとする.

 また,算用数字は半角文字を用いる.たとえば,「2009年」とはせずに,「2009年」とする.なお,西暦年を表示する以外のときには,3桁ごとに半角の「,」をつける.たとえば,「2,829,600円」.また,小数点を表示するときは,半角の「.」を用いる.

1.2 わかりやすい文章

学術論文といえども,わかりやすい文章で書くことが必要である.わかりやすい文章を書くためには,ひとつのセンテンスは,できるだけ簡潔に短く書くことが望ましい.だらだらと何行にもわたって句点がうたれない文章は,避けたい.ひとつのセンテンスが何行にもおよんだ場合には,いくつかのセンテンスに分割できないか,再考したほうがよい.

 ひとつの段落が長すぎるのも望ましくない.段落が長くなった場合は,どこかで改行できないか,再考したほうがよい.

 読みやすい文章を書くためには,むやみに漢字を使わないことが望ましい.接続詞はかな書きにしたい.たとえば,「従って」→「したがって」,「又」→「また」,「及び」→「および」,「並びに」→「ならびに」,「或いは」→「あるいは」,「若しくは」→「もしくは」,「然るに」→「しかるに」,「それ故」→「それゆえ」,「但し」→「ただし」,等々.副詞や助動詞などもかな書きにしたほうが,読みやすい.たとえば,「嘗て」→「かつて」,「極めて」→「きわめて」,「例えば」→「たとえば」,「全く」→「まったく」,「全て」→「すべて」,「初めて」→「はじめて」,「決して」→「けっして」,「恐らく」→「おそらく」,「多分」→「たぶん」,「……という風に」→「……というふうに」,「……という様に」→「というように」,「出来る」→「できる」,「……し得る」→「……しうる」,等々.また,複数を示す「達」も「たち」が望ましい.あるいは,漢字を用いて正しく書けば「にも拘わらず」とすべきところ,つい,「にも関わらず」と誤記しやすい言葉も,「にもかかわらず」とかな書きするのが望ましい.

 むやみに漢字を使うのではなく,できるだけかな書きにすることが望ましいのは,もともと,社会学の論文は,通常のエッセイなどと比べて,難解な漢字言葉からなる諸概念を駆使する頻度が高いので,文章の枝葉の部分まで漢字を多用していると,どうしても読みづらい文章になりがちだからである.なお,ひとつの論文のなかではなるべく一貫したかなづかいをする.たとえば,「したがって」と「従って」を混用しない.

 ただし,かなづかいの混用が許される例外ケースとして,あまりに漢字が多く用いられている文章のなかでは,他では原則として漢字を用いていた言葉をかなで書くことが許される.ぎゃくに,あまりにひらがなが続いている文章のなかでは,他では原則としてかなを用いていた言葉を漢字で書くことが許される.

1.3 句読点

 『社会学評論』は,横書きで印刷される.句読点は全角の「.」と全角の「,」を使うことにする.

 なお,半角の「,」や半角の「.」が混じっていると,印刷の仕上がりが不揃いになるので注意すること.句点は「。」で,読点は「、」でうっておいて,原稿の完成時に全角の「.」と全角の「,」に一括変換すると間違いがない.

 読点の使い方には,かならずしも確立した規則はない.それだけに,読点のうち方はむずかしい.あまりに読点の少なすぎる文章は読みにくいし,文意が伝わりにくくなる.ぎゃくに,むやみに不必要な箇所にまで読点がうたれた文章も,読みづらい.めやすとしては,長めのセンテンスでは,主語の部分の後には読点をうつ,また,主文節と従属節の区切りには読点をうつといった構文上必要とされる場合と,じっさいに原稿を声を出して読んでみて息継ぎをする箇所に読点をうつ必要があると考えておけばよいだろう.

 なお,「  」と句点を併用する場合の原則は,つぎのとおり.

(1) 本文中に,「  」付きの文章を表記し,文章がそのまま続く場合には,「…….」とはせず,たんに「……」とする.つまり,閉じたカッコの前の句点は不要である.

× 「身のほどを知ってください.」といった言明に,その結合が端的に表れている.
「身のほどを知ってください」といった言明に,その結合が端的に表れている.

(2) 本文中に,「  」付きの文章を表記し,文章がそこで結ばれる場合には,「…….」ではなく,「……」.と閉じたカッコの後に句点をうつ.

1.4 算用数字と漢数字

 横書きの文章ゆえ,数字は原則として算用数字「1,2,3……」を用いる.漢数字「一,二,三……」を用いるのは,「第一歩」「一生」など,漢数字を使わないと不自然な場合にかぎる.

 算用数字を用いるか漢数字を用いるかを見分ける方法は,その数字を任意の数字に置き換えられる場合には算用数字,その数字がそれ以外は通常用いられない場合には漢数字と考えればよい.「第一歩」とは言っても「第2歩」とは通常言わない.だから漢数字を用いる.「第三者」や「第三世界」も漢数字だし,「一石二鳥」などの慣用句も漢数字を用いる.

 もちろん,算用数字を用いるか漢数字を用いるかの判断のむずかしいグレーゾーンに属するものもある.たとえば,「第一次世界大戦」「第二次世界大戦」は,固有名詞と考えるなら漢数字になるし,たんに世界大戦というものにナンバーをつけただけだと考えるなら,算用数字で「第1次世界大戦」「第2次世界大戦」と表記することになろう.「第1に」「第2に」とするか,「第一に」「第二に」とするかも,好みの分かれるところであろう.このような境界領域の場合は,ひとつの論文のなかで一貫性が保たれていさえすればよい.

 なお,年代の表記にさいしては,元号ではなく西暦を用いることを原則とする.元号による表記が必要な場合は,たとえば,1922(大正11)年というように,西暦の後に丸カッコを用いて元号年を表示する.

 また,たとえば「1970年代」を表記する場合,初出時から「70年代」というように略記してはならない.誤解のおそれがない場合には,再出時からは「70年代」と略記してよい.ただし,「’70年代」という表記はしない.

1.5 記号

 まず,似たような記号を誤用しないことが大切である.とくに,「一」(漢数字のイチ),「ー」(長音記号),「-」(全角ハイフン),「―」(全角ダッシュ),「──」(2倍ダッシュ),「-」(欧文のハイフン)を,きちんと使い分けること.

 なお,全角ハイフンは,原稿用紙のマス目に書いたとすれば,マスの両端に隙間があるものであり,全角ダッシュはマスの両端に隙間がないものである.

(1) カッコ記号

カッコ記号にはさまざまなものがあるが,それぞれの一般的な用法はつぎのとおりである.

『  』  和文の書名や雑誌名には,二重かぎカッコをつける.なお,欧文の書名や雑誌名は,カッコはつけず,イタリック体にする(イタリック体がうてない場合はアンダーラインをつける).
「  」  和文の論文名には,かぎカッコをつける.
 また,本文中で短い引用をする場合にも,かぎカッコを用いる.そのさい,引用する文章中に「  」が使われている場合には,そのカッコは『  』に変える.
〈  〉  著者がある概念を強調したいときに,山カッコを用いてもよい.
(  )  文章中に割り込むかたちで注釈を入れるときに,全角の丸カッコを用いる.丸カッコの代わりに,――(2倍ダッシュ)を用いてもよいが,―(全角ダッシュ1つ)は用いない.ただし,日本語の言葉に欧文の原語を注釈書きするときには,丸カッコ(  )を用いなければならない.なお,丸カッコによる注釈がセンテンスの終わりにくるときは,…….(……)とはしないで,……(……).と,閉じたカッコの後に句点をうつ.
〔  〕  引用にさいして,引用文に割り込むかたちで引用者が補足説明を入れる必要があるときに,全角の亀甲カッコを用いてもよい.また,聞き取り資料などを提示するさいに補足説明をする必要があるときにも,用いてよい.
“  ”  引用文以外のひとまとまりの表現を表示する場合に,全角のクォーテーションマークを用いてもよい.

(2) その他の記号

 長音を示すときには,長音記号を用いる.たとえば,「コミュニケーション」.なお,長音記号の代わりに,―(全角ダッシュ)や-(全角ハイフン)を使わないように気をつけること.また,現状では,「アイデンティティ」と「アイデンティティー」というように2通りの表記法があるが,ひとつの論文のなかでは,いずれかの一貫性のある書き方をする(ただし,後述するように,引用の場合は自分の文章の表記法と異なっていても原文のとおりとする).
――  2倍ダッシュは,副題の前後につける.また,文章中に割り込むかたちで注釈を入れるときに丸カッコ(  )の代わりに用いてもよい.ただし,―(全角ダッシュ1つ)のかたちでは使用しない.
 全角ハイフンは,対応するふたつの用語を結びつけるときに用いる.たとえば,「差別-被差別の関係」.
 ナカグロは,単語を並列的にならべるときに用いる.たとえば,「在日韓国・朝鮮人」「政治的・経済的・文化的に」.また,欧文の言葉をカタカナ書きにするときに,単語の切れ目に入れる.たとえば,「エスニック・アイデンティティ」.
 スラッシュの用法はかならずしも定まっているとはいえないが,たとえば,つぎのような場合に用いると便利である.
 文献リストに全集の類をまとめて記載するときに,出版年度が1995年から1998年まで毎年継続している場合は1995-1998と表記するが,1997年にはその全集の刊行がなかった場合には,1995-1996/1998と表記すればよい.つまり,出版年がとんでいる場合に,その区切りを表示するために用いる(この場合は,後述のルールにより,半角のスラッシュをつかう).
 「彼ら/彼女らは」のように,単語を並列的にならべるときに用いる.この場合,ナカグロはandの意味であるのにたいして,スラッシュはand/orの意味あいをもつ.
 「同性愛/異性愛の政治学」のように,いわば二項対立的な用語をならべるときにも用いられる.
 著者名を記載するときに,日本人名とカタカナ書きの外国人名を併記しなければならない場合に,「杉本良夫/ロス・マオア」のようなかたちで用いる.つまり,本来はナカグロを用いるべき箇所であっても,併記される語句にすでにナカグロが用いられている場合に用いる.
……  三点リーダ2つは,聞き取り資料などを呈示するさいに,語尾の部分などの不完全な表現や余韻を示すために使われる.また,引用文における省略を示すときにも用いられる.原文のなかにすでにこの三点リーダが使われていてまぎらわしくなる場合には,引用の省略部分の表示は,(中略)としてもよい.ただし,……(中略)……とはしない.なお,三点リーダは1字分だけの…というかたちでは使わない.また,・・・(ナカグロの連打)や……(ピリオドの連打)などで代用してはならない.
 疑問符は通常の日本語の文章では使う必要はないが,聞き取り資料における疑問文を明示するような場合に用いてもよい.なお,?の後も文章が続く場合には,?とつぎのセンテンスとのあいだに半角のスペースを入れる.また,かぎカッコつきの文章で,「……?」となったときには,「……?」.とはせずに,「……?」の後に句点をうつ必要はない.
 感嘆符も通常の日本語の文章では使う必要はないが,聞き取り資料における感嘆文を明示するためなどに用いてもよい.注意すべき点は?の場合と同じ.
ルビ  ルビは,特別な読み方をする語句などの上につける.また,引用文において原文自体に誤字や当て字があったときに,(ママ)とルビをふる(なお,該当の機能がない場合,ワープロ原稿上は,当該語句にアンダーラインを引き,その後にカッコ書きでルビにふる語句を記載しておけばよい).
˙
[上ドット]
 強調点(上ドット)は,ある語句を強調するために,その語句の上につける(なお,該当機能がない場合,ワープロ原稿上は,当該語句にアンダーラインを引き、その後にカッコ書きで(強調)と記載しておけばよい).

(3) 欧文用

“  ”  欧文の論文名には,半角のクォーテーションマークをつける.“  ” のなかにさらに引用符が使われる場合には,半角の ‘  ’ を用いる.
 ハイフン(hyphens)は,単語をむすびつける場合に用いる.たとえば,middle-class familiesのように.数字と数字をつなぐときには,en dashesを用いることになっているが,-(ハイフン)で代用してよい.西暦の何年から何年までということを表示する場合(たとえば,1952-1960)や何ページから何ページまでということを表示する場合(たとえば,219-31)に用いる.
 英文の文章中に割り込むかたちで注釈を入れるときには,em dashesを用いることになっているが,―(全角ダッシュ)で代用してよい.たとえば,つぎのように用いる. Each of three variables―education, income, and family size―is considered separately.

1.6 難読地名・人名

 邦文要約,本文,注において,読み方の難しい地名・人名などがある場合には,初出時にルビのかたちでふりがなをつける.